2014年10月23日木曜日

芽ネギが列をなす

 夏井川渓谷にある隠居の庭の一角に畳半分くらいの苗床をつくり、三春ネギの種をまいてから2週間余がたつ。先の日曜日(10月19日)に見たら、髪の毛ほどの太さの芽ネギが列をなしていた。丈は2~4センチ。先端に種の黒い殻を付けているものもある=写真。思った以上に発芽は順調だ。

 10月最初の日曜日(5日)、三春ネギの種を筋まきにした。次の日曜日(12日)には、種の直上の土が筋状に割れていた。その割れ目から1カ所だけだが、緑色の点(発芽しつつある緑色のネギ苗)がのぞいていた。

 種は地中2ミリほどのところで眠っている。黒い殻を破った芽(根と茎の部分がある)はいったん上向きに伸び、やがて根の部分が屈曲して下へ、下へと向かっていく。茎は屈曲した状態で上へ伸び、ヘアピン状のまま地上に現れる。

 不思議なのは、土のふとんをかぶった黒い種がまた、茎に引っ張られて地表に出てくることだ。前にも書いたが、初期の芽ネギは頭に黒い殻をのせているために、「7」あるいは「?」のように見える。次の段階には黒い殻が脱落し、茎も根もピンと一直線になる。

 発芽率は8割以上だろうか。種としては古い。通常はその年の初夏にネギ坊主から採った種を冷蔵庫に保存しておいて秋にまく――という流れで栽培しているのだが、去年は初冬、菜園を含む庭が全面除染されることがわかっていたので播種を中止した。1年よけいに冷蔵庫で眠っていた種だ、発芽率は下がると覚悟していたものの、例年と変わりはなかった。

 第一関門は突破した。次は、どんなかたちで芽ネギを越冬させるか、だ。温室のようにビニールシートで覆うか。そこまではせずに、防寒用に苗床にモミ殻を敷き詰めよう。そうすれば霜柱の予防になる。霜柱が立って苗床の芽ネギの根が浮くようなことはないだろう。

 昨年は手抜きが原因で栽培にも失敗した。それもあってこの2年というもの、三春ネギを口にしていない。

 ゆうべ(10月22日)は6時台のNHKローカルで、青森県南部町の幻の伝統野菜「南部太ネギ」が復活し、初出荷の時期を迎えたという話題を取り上げていた。なるほど、下仁田ネギほどではないが、太い。白根が長く、加熱すると甘く、やわらかくなるという。

 三春ネギがそうだ。わが家の三春ネギが復活するまで、あと1年。この冬もときどきは、三春ネギと産地が隣り合う郡山の「阿久津曲がりネギ」(三春ネギの親だと思う)の世話になろう。そうだ、紅葉シーズンになると夏井川渓谷に直売所を設ける小野町のNさんの曲がりネギもある。こちらも加熱すると甘く、やわらかい。

 この夏から秋は買うネギ、買うネギが加熱してもあらかた硬かった。甘く、やわらかいネギに早く出合いたい。

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