毎朝、庭で歯を磨きながら地面を見ている。そのことを前に書いた。これもその一コマ。
放っておくと新芽が延びてそばの木に絡みつく。ヤブガラシはそれで繁殖するが、本体の生け垣(マサキ)は光合成を阻害される。
ヤブガラシの赤い新芽はボールペンの先端くらいの太さしかない。それが地面を突き破って地上に現れる。
毎朝、赤芽を摘んでいてわかったのだが、先端には光合成をするための葉の赤ちゃんが眠っている。芽が伸びるとすぐ葉が開いて緑色になる。
摘んでもつんでも、次の日にはまた芽が出る。ほんとうによく現れる。ヤブガラシに限らない。植物の発芽と再生能力はみごとというほかない。
しかも、土よりやわらかい植物体が土のすき間から針のような芽を出す。なかには土の塊を持ち上げる芽もある=写真上1。まるでモグラがマンホールのふたを頭でぐいとやったような感じだ。
そんな小さなドラマを見ているうちに、足元に広がる地面にも興味がわいてきた。土とは何?
ちょっとしか離れていないのに、なぜ発芽の仕方が違うのか。地面の土の構造が影響しているのか。
著者は土の研究の第一人者、藤井一至さん。原発事故で汚染された農地の再生を報じる新聞記事で知ったのだが、藤井さんは今、大熊町の農地で土壌分析の協力をしている。
土の専門家が福島県の土壌を調べている。それだけで心強く思うのは、土と植物、キノコの関係がいつも頭にあって、その流れで藤井さんを知っていたからだ。
「土とは岩石が崩壊して生成した砂や粘土と生物遺体に由来する腐植の混合物」と藤井さんはいう。
この定義に従えば、板状に結びついていた土は、ほかの土よりは粘土分が多かったのだろう。
土だけでなく、キノコもまた進化の過程でさまざまに変化した。マツタケのように松の根と共生する菌根菌もあれば、シイタケのように樹木を分解する腐朽菌もある。
「樹木の巨大化が引き起こした土壌酸性化はキノコの進化を促し、今日の森の物質循環が成立するようになった」ともある。
わからないなりにキノコや植物と土の関係にも興味を持っていたことが伏線になって、ヤブガラシが板のように固まった土を持ち上げている姿に「オヤッ」となった。そこから藤井さんの本を思い出した。
ごく普通の家の庭でも、足元に目を凝らすと地球史にも通じる自然の不思議が見えてくる。
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