日曜日の夕方は茶の間の座卓に皿(生カツオの刺し身)と茶わん(焼酎)、ポット(お湯)が並ぶ。
刺し身をつついては焼酎、次いでお湯を口に含む。一瞬、焼酎の生(き)を楽しんでから、のどの奥でお湯割りにする。
座卓の先にはテレビがある。5時半になると「笑点」を見る。大相撲のときは、「笑点」の後半の「大喜利(おおぎり)」の時間にNHKから4チャンに切り替える。
「笑点」は昭和41(1966)年5月にスタートした。今年(2026年)で放送開始60年である。
いわき市もまた同じ年の10月1日に14市町村が合併して誕生した。今年、市制施行60年である。
同じ60年ということで、なにかつながれば面白い――。これはしかし、単なる外野の思い付きにすぎないが。
ついでにいえば、いわき市立草野心平記念文学館で開かれている企画展「草野心平と川内村」は、心平ゆかりの天山文庫設立60周年を記念したものである。
大喜利の話に戻る。番組開始から60年というのは長寿も長寿、大長寿番組だ。人気のひけつは「大いなるマンネリズム」だそうだ。
司会者(落語家)が「お題」を出し、常連メンバーの6人(やはり落語家)がトンチを利かした答えを披露する。
やりとりはパターン化されているが、実にさまざまなお題があるから、毎回新鮮であきがこない。
「よい答え」も「悪い答え」も、それなりに凝り固まった頭をほぐしてくれる。脳みそのマッサージ効果が大喜利の最大の魅力といってよい。
マッサージ効果という点では、Eテレのピタゴラスイッチ=写真=もなかなかのものだ。「ピタゴラ装置」にはいつもびっくりする。
文房具やトイレットペーパーの芯、ビー玉……。なんでもいい、家に普通にあるようなものを組み合わせて、球がころころ転がっていく流れをつくる。
こちらは平日の晩酌の時間によく見る。ニュース番組の合間にチャンネルを合わせ、夫婦でいつも感心する。よく考えつくものだ。
6年前、94歳で亡くなった安野光雅さんも遊び心に満ちていた。自著のタイトル『語前語後』は、「午前午後」をもじったものだろう。
その中にピタゴラスイッチについて書いた文章がある。「ある日、テレビを見ていて、すごくおもしろい番組に出会った。忘れないために書き留めたが、『ピタゴラスイッチ』というもので、以前評判になった『セサミ・ストリート』よりうんといい、とわたしは思う」
森毅編著『キノコの不思議――「大地の贈り物」を100%楽しむ法』でも、安野さんは遊び心を発揮した。
毒キノコのワライタケにひっかけて、「ナキタケ」を創案した。ワライタケがあるならナキタケがあってもいい――そんな対語的発想、遊び心で存在しないキノコを生み出したのだろう。
車のハンドルに必要なのは「遊び」。笑点もピタゴラスイッチもこの「遊び心」を刺激する番組ではある。