3月28日付の全国紙と県紙に、いわきの加路川のイワナから基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたという記事が載った。
加路川は夏井川の支流で、その合流部・片石田(小川)の県道小野四倉線沿いにあるハクモクレンの開花と、そばの橋の直下にあるバショウの巨大な枯れ葉の話をブログに書いたばかりだ。
水源は小川町の北方、猫鳴山と吃兎屋(きっとや)山あたりで、本流の夏井川までは10キロあるかないかだろう。
山をはさんだ西側を江田川(背戸峨廊=セドガロ)が同じように南流して夏井川に注ぐ。
加路川流域の住民にとっては、集落の裏山の陰を流れる江田川は「セドガロ」(背戸の加路川)だ。そのセドガロに小川出身の詩人草野心平が「背戸峨廊」と漢字を当てた。
その後、いつの間にか「セドガロ」が「セトガロウ」、漢字を当てただけの心平が「背戸峨廊」の命名者と誤認されるようになった。間違いをブログで言い続けていたら、最近は原点に戻りつつある。
私が論拠にしたのは、心平のいとこの草野悟郎さんの文章だった。悟郎さんは初代の小川中校長で、長らく平二中校長を務めた。
現役時代、新聞に書いた文章に関して、人づてにコメントをもらったことがある。尊敬の念もあってつい「さん」付けになる。
悟郎さんは昭和62(1997)年、随筆集『父の新庄節』(非売)を出す。そこに前述したセドガロの話が載る。
「この川の上流はもの凄く険阻で、とても普通の人には入り込める所ではなかった。非常にたくさんの滝があり、すばらしい景観であることは、ごく限られた人々、鉄砲撃ちや、釣り人以外には知られていなかった」
釣り人とはむろん渓流釣りの人である。その意味では、夏井川もそうだが、支流は渓流釣りのフィールドだろう。
新聞記事に戻る。イワナは3月まで禁漁期間で、解禁を前に地元漁協の組合員が試験的に捕らえ、県農業総合センターで検査したら140ベクレルが検出された。
このため、県は夏井川水系のうち、籠場の滝~愛谷堰頭首工の間(支流を含む)でのイワナの捕獲を控えるよう、自治体や団体に要請した。ただし、小玉川はダムから上流部はこの要請から外された。
記事を読んだ日、隠居のある集落で集まりがあった。連絡がきて私も参加した。籠場の滝は隠居の手前にある。
イワナを釣らないように行政がいう夏井川の籠場の滝の下流をパチリとやった=写真上1。
川の表情よりも確かめたいものがあった。マチのソメイヨシノが開花した。ならば渓谷のアカヤシオも咲いているはず。
隠居の対岸でも午後の日が当たる尾根筋のアカヤシオはかなり開花していた。江田と牛小川の中間、椚平の対岸はピンクの点描画がはっきり分かった。渓谷にも春が到着した。