海に近い農村部に住む後輩からいろんなものをもらう。自産のパパイア、落花生、ユズ、サツマイモその他、大物ではスイカ、トウガン、メロンなど。
先日はマグロの柵(さく)が届いた。沿岸漁業に従事している知り合いがいる。網にかかったのだという。海のお福分けである。
なんという名前のマグロかはわからない。冬に行きつけの魚屋で買ったメジマグロの刺し身はピンク色だった。目の前の柵はカツオ並みに赤い。メジでも背側の部位は赤いそうだから、それか。いや、決めつけるのはよそう。
前日の日曜日は夜、スーパーの刺し身を食べた。貝の盛り合わせのほかに、今年(2026年)初めて生のカツオの柵を買い、家で包丁を入れた。
マグロも、行きつけだった魚屋の店主の包丁さばきを思い浮かべながら、皮をそぎ、赤身を短冊形に切ってから刺し身にした=写真。
切り屑状になったものがあるのは、シロウトだから仕方がない。見た目は悪くても味に変わりはないだろう。そのとおりで、鮮度は抜群だった。やわらかい。脂ののったカツオとそう変わらない。
けっこうなボリュームだったので、3分の1以上が残った。去年初夏までのカツ刺しを思い出した。余るといつもそうしていたように、マグロも翌日、「ひたし揚げ」にしてもらった。それからまた刺し身に思いがめぐった。
生のカツオが普通に出回るにはちょっと早い。スーパーで生のカツオを見つけた日曜日の1週間後、また生があるのでは、あるとしたら四倉か――勝手に決めて車を走らせた。
いろんな刺し身の盛り合わせはあったが、生のカツオはなかった。しかたない、同じスーパーの草野店へ寄ろう――刺し身を買うのにハシゴするとは思わなかった。
当然である。行きつけだった魚屋でも、早春は入荷したりしなかったり、だ。生のカツオが常時入るまでには、まだ時間がかかる。
前にも書いたが、この半年、日曜日は「刺し身ドライブ」が続く。カツオ・非カツオ関係なく、刺し身を買う店が定まらない。
個人営業の魚屋と違って、スーパーではホウボウやイワシの刺し身は見たことがない。
イワシは鮮度がいのちだ。「銚子で捕れたサバに混じっていました」。行きつけだった魚屋でそう言われたことがある。その時のイワシのさばき方がブログに載っていた。
――頭を切り、腹を裂いて内臓を取る。水で洗ったあと、指で骨をはがし、2枚に分ける。
次に、同じように指で皮をはがし、6枚を重ねるように並べて包丁を入れ、包丁の腹を使ってマイ皿にきれいに盛り付ける――。
イワシの刺し身は何年ぶりかに1回くらいのペースだった。甘い。それが強い印象として残っている。
イワシは漢字で「鰯」と書く。「弱い魚」とあるように、小さくてすぐ鮮度が落ちる。生臭くなる。刺し身のつくり置きは難しいのだろう。
行きつけの魚屋の閉店はやはり痛い。刺し身ドライブはまだまだ続く。そう覚悟している。