2013年11月30日土曜日

自己防衛

きのう(11月29日)、夏井川渓谷の隠居(無量庵)へ行ったら、だれもいない。29日から「全体除染」を行うという話だったが、どうしたのだろう。集落を巡って了解した。空き地をはさんだ隣家の入り口に、「除染作業中」の紙を張った赤いカラーコーンが置かれていた。庭にトラックがあって、作業員もいた。予定より作業が遅れているのだ。

紅葉が美しいV字谷である。震災3年目の秋を迎えて、週末を中心に行楽客が戻ってきた。JR磐越東線江田駅前の空き地には、食のテント村ができた。カエデを除く木々があらかた葉を落とした今は、テントもたたまれ、老アマチュアカメラマンが時折、三脚をかついで現れるだけになった。

道路に立っていると、近くのKさん夫婦が車で戻って来た。「お茶飲みに来たら」。言葉に甘えることにした。集落の除染の話になった。Kさんの家では、山を背負った裏の軒下の土のはぎとり・客土だけですんだ=写真。いわゆる「部分除染」だ。

Kさんは震災後、裏山の杉の木を伐採した。自己防衛策として、放射線量を下げるために緩衝帯を設けたのだという。伐採幅は10メートル以上に及ぶだろうか。自己防衛策がもうひとつ。毎日、落ち葉かきをしている。集めた落ち葉は自分の山に捨てる。「最も効果的な除染が落ち葉かき」なのだとか。

V字谷の集落の真ん中を、線路と道路(県道小野四倉線)が突っ切っている。Kさんの家はそこから山側に、わが隠居は谷側にある。山を背負ったKさんの家より、空き地に囲まれたわが隠居の方が、線量が高い。空気が滞留するせいなのかどうか、隠れ里のような小集落では、全体除染はわが隠居だけだ。

現場監督には会えなかったが、夜、自宅に電話がかかってきた。「作業がずれこんでいるので、来週の火曜日(12月3日)からになります」。当然ながら現場は応用問題だらけ、計画通りに事は進まない。

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