2013年11月1日金曜日

タバコの花

FMいわきのPR誌「みみたす」に触発されて、田村郡の葉タバコの話を書いたら、匿名さんからコメントをいただいた。折しもきのう(10月31日)、日本たばこ産業(旧日本専売公社)の郡山工場が2年後の平成27(2015)年3月末に閉鎖される、という新聞記事を目にした。なぜか阿武隈高地のタバコの花=写真=が思い浮かんだ

タバコの学名はニコチアタバクム。阿武隈では6月下旬~7月上旬が開花期で、2~3輪咲くと芯止めのために摘花される。細長いラッパ状の、筒は白色、先端はピンク色の星型の花だが、摘花されるために農家以外でちゃんと見ている人は少ないのではないか。

写真の花は4年前の7月上旬、現田村市船引町の、JR磐越東線磐城常葉駅付近の畑に咲いていたのを、いわきへの帰路、車を止めて撮影した。ニコチンとヤニを含んでいる植物とは思えない清楚さだった。

さて、コメントから。匿名さんはその昔、船引町で葉タバコの買い入れ光景にでくわした。タバコ生産者の手はみな茶色だった。磐越東線の列車からは、タバコの大きな葉っぱが風に揺れ、山一面にタバコ畑が広がっているのが見えた――。

その通りで、夏に阿武隈の山里を行くと、道の両側が大きなタバコの葉で壁になっていた。「タバコロード」が張り巡らされていた。

葉タバコ農家の人のてのひらが茶色いのは、葉タバコのヤニがこびりついたため。夏の「タバコはさみ」、冬の「タバコのし」。小遣いになるのはいいが、せっけんで洗ってもヤニは簡単には取れなかった。

匿名さんはさらに、福島の葉タバコは郡山の専売公社でハイライトになったと記憶している、換金作物としては米より安定していたが、それは国の保護があったから、とも書く。

現田村市常葉町には日本専売公社郡山地方局常葉出張所があった。私が小学生のころ(昭和30年代)は、田舎町に来る転勤族といえば学校の先生か警察、専売公社の職員くらいのものだった。専売公社は出張所とはいえ、職員が常駐していた。同級生がいた。匿名さんのいう船引町の「寒い倉庫」は常葉町にもあったように思う。敷地が広かった。タバコ生産は昭和30年代がピークだったのではないか。

夏に葉を摘み、縄にはさんで乾燥させ、冬に葉をのして束ねたものを、専売公社が買い取る仕組みになっていた。今思い出したが(記憶が正確かどうかは自信がないが)、冬になると在郷の農家が次々に葉タバコを積んで家の前の道路を通って行った。出張所へ向かっていたのだろう。

健康志向の高まりからたばこの売れ行きが落ちた。それを反映して栽培面積が減った。商品としては税金分だけ高くなっても安くはならない。原発事故が栽培減少に輪をかけた。「みみたす」の葉タバコ農家探訪記事は、その意味では貴重な記録になるかもしれない。タバコの花もやがて幻の花になるだろう。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

きのうのニュースを見て合点がいった

原発事故の放射能の影響で栽培面積が減った
(できなくなった)
来年の消費税導入でまたタバコの価格に転嫁される
愛煙家が減る

明治時代から栽培していた葉タバコ農家の人がインタビューに応えていた
これから先どうなるのだろう不安だ

煙草神社、縁日の際は露店も出た賑わいだったとか・・・

私は禁煙したくちだが、今週友人と飲んで1本吸ってしまった 細胞に取り込んだニコチンはとれない 放射能はもっと怖いかもしれないが知らないだけでのんきにしている