夕方、自宅へ戻るのに平・山崎で県道から夏井川の堤防(右岸側)に出た。六十枚橋まで行って、また反対側の堤防に折れ、夕日に向かって車を進める。
橋までもうすぐというところで、前方にちょっと大きな鳥がいた。減速して接近すると、キジの雄だった。
マチからの帰り、やはり夏井川の堤防(左岸側)を利用する。2カ月に1回はキジの雄に遭遇する。
左岸のキジは警戒心が強い。車を見るとすぐ土手の草むらに移動して姿を隠す。シャッターチャンスがあっても、堤防の天端からは遠い。望遠レンズがない。撮ればボケブレになる。
それに比べると、今度の雄は車を見ても動じない。どころか、近づいてくる。車を止める。カミサンがパシャパシャやる=写真。最後は車のそばまで寄って来て、運転席側の草むらに消えた。
僥倖である。前からも、後ろからも車は来ない。キジが姿を消すまで、じっくり動きを観察することができた。
この河川敷にはキジの雄が何羽いるのか。つまりは縄張りが何カ所あるのか、推測したことがある。もう18年も前のことだ。そのブログを抜粋・再掲する。
――朝晩、この堤防(左岸側)を散歩していたころ、初夏に雄のキジがよく鳴いた。1羽や2羽ではきかない。
1羽が鳴くと、必ず少し離れたところで別の1羽が鳴く。それが下流の方まで延々と続く。
肉眼では黒い粒でしかないキジも、双眼鏡で見ると、赤い肉だれと気品のある緑黒色の体がよく分かる。
対岸ばかりでなく、こちら側に来ているときもあるから、川の両岸が同じ雄の縄張りとみてよい。
ある朝6時ごろ、いつものように堤防の上を歩いていると、右岸の3カ所からキジの鳴き声が聞こえた。音源を探ると1羽は畑の真ん中に、ほかの2羽はそれぞれ離れて河川敷の砂地に近い草むらにいる。肉眼でもはっきり見える。
3羽の距離を歩いて測った。AキジとBキジの間は240歩(一歩90センチとして216メートル)、BキジとCキジの間は100歩(同じく90メートル)である。真ん中のBキジの縄張りは、中間で線引きをすると108メートル+45メートル=153メートルになる。
少し余裕をもたせて200メートルごとに縄張りがあるとすると、現にその程度の間隔で「ケーン、ケーン」と鳴いているのだが、雄のキジは1キロメートルに5羽、河口まで4キロメートルとして20羽がそれぞれ縄張りを持っていることになる。
もう少し狭めて150メートルごとにオスがいるとすると、26羽強だ。これはいくらなんでも多いか――。
「令和元年東日本台風」のあと、河川敷の立木の伐採と土砂除去が行われた。畑はなくなった。キジも一時姿を消した。それが少しずつ戻りつつある。メスが子どもを連れて歩いているのも目撃した。
おもしろいことに、キジはやはり「非日常」である。キジに出合うと、気持ちがクシャクシャしていてもすぐ晴れる。不思議なものである。鳥には人を癒す力がある。