最初に断っておく。表題の「アオテングタケ」は架空のキノコだ。
10月26日の日曜日は、未明の4時過ぎから雨になった。気象会社の「時間天気」によると、10時ぐらいまでは雨が続き、その後一時やんでまた降り出すという予報だった。
曇りなら夏井川渓谷の隠居へ行く。前後にカミサンのアッシー君をする。一つは、市役所の駐車場にある古着ボックスに、わが家に持ち込まれた古着6~7袋を搬入すること。
もう一つは、薄磯海岸のカフェ「サーフィン」へカミサンの忘れ物を取りに行き、ついでに昼食をとること。
隠居へ行く途中、三島(小川)の夏井川でハクチョウの有無を確かめることも予定に入れていたが、雨では行ってもやることがない。ハクチョウは前日、中神谷の夏井川で今季初めて確認した。
とりあえず10時ごろまで家にいて、雨が上がったらヤマではなくマチとハマを巡る。そう決めて、ブログの下書きをつくったり、本を読んだりしていると、いい具合に雨が上がった。今だ。急いで車のトランクに古着の袋を詰め込み、市役所の駐車場へ直行した。
サーフィンが開店するまでは少し時間がある。鹿島街道の鹿島ブックセンターにはしばらく行っていない。通り道である。そこで本をながめながら、面白そうなものがあれば買うことにしよう。
同センターには大型書店ならではの楽しみがある。ふだん利用している総合図書館と違って、思わぬところに思わぬ著者の本がある。
新書、選書、新刊本と背表紙をながめているうちに、レジから最も遠い角の詩集のコーナーに、表紙にベニテングタケなどのキノコが描かれた宮沢賢治の本があった。
飯沢耕太郎編『宮沢賢治きのこ文学集成』だった。飯沢さんはキノコ愛好家としても知られる。彼の『きのこ文学大全』(平凡社新書)は、わが家のどこかでほこりをかぶっているはずだ。
表紙を見て買う気になり、財布を握るカミサンに渡すと、「どこにキノコの写真があるの」。どこにもない。で、却下! 賢治全集なら家にある。それを読めばいいじゃないか、というわけだ。
まあ、いい。気を取り直してサーフィンに向かう。店の前の駐車スペースに車を止め、カミサンが助手席から下りると声をあげた。「キノコがある!」
2階の店に通じる階段入り口の手前に花壇の飾りがあった。そこにベニテングタケを模したキノコの置物が配されている。よく見ると、青と緑の色違いのテングタケもある=写真。
なるほど。架空のキノコには違いない。が、装飾の世界では「アオテングタケ」も「ミドリテングタケ」もありだ。
ベニテングタケは毒キノコだが、キノコが登場するヨーロッパ系の絵本、ロシアの画家ビリービンの挿し絵などでは、キノコの代表のように扱われている。美術作品では草間彌生の水玉模様が有名だ。
サーフィンのアオテングタケから、次々に想像が広がる。それでしばらく遊んだ。そんな日曜日の過ごし方もたまにはいい。
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