この時期、阿武隈の山中ではモリアオガエルが樹上に卵塊をつくる=写真(2006年7月9日)。繁殖地として国の天然記念物に指定された川内村の平伏(へぶす)沼にも、水辺の木々の枝に卵塊を産みつけた、という報道が相次いでいる。
でも、この雨不足だ。平伏沼の水が涸れている。卵からかえったオタマジャクシは、卵塊の下端から沼に落下して水の中で育つのだが、肝心の水がないために次々に死んでいるのだという。
もう何年前になるだろう。平伏沼を何度目かに訪れたとき、やはり沼の水が涸れ、水を張った発泡スチロールの箱を卵塊の下に置いているのを見たことがある。お年寄りが“オタマジャクシ番”をしていた。村から委嘱された監視員でもあったか。
平伏沼は落葉広葉樹が覆う山頂にある。雨不足が続けば干上がりやすいのはそのためだろう。
きのう(6月18日)、東北、北陸が梅雨入りしたとみられる、と気象庁が発表した。けさは起きるとやや強い雨。平伏沼のオタマジャクシには恵みの雨となるかどうか。
いや、人間にとっても梅雨は梅雨らしくあってほしい。夏井川渓谷の埴生(はにゅう)の宿(無量庵)の井戸水が細くなってきた。瞬間湯沸かし器が使えない。お湯を出そうにも水量不足でガスがつかないのだ。ガス屋さんが点検してわかった。
きのう、きょうのことではなく、阿武隈の山々に降る雨が少なくなっている、ということだろうか。モリアオガエルには生きにくく、井戸水頼りには暮らしにくい気候が続く。雨乞い祭りをしないと――。
1 件のコメント:
蛙の鳴き声と鳥のさえずり、木々のざわめきしか聞こえない桃源郷が今は訪れる人もなくかなしい沼にも見えてくる。
現場の値も村のホームページで見ると高い値を示している。基準値は何を指して安全なのか?値だけで人の営みは続けられないだろう?不信感が残りる。
それでも蛙の営みは何もなかったようにこれからも続いていく。人間の傲慢さが自然の怒りを買ってしまった。忘れさせてくれるのは世紀を超えるしかないかもしれない。
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