11月に入るとさすがに石油ストーブをつける日が増えた。晩酌は、茶わんの焼酎とは別に、ポットのお湯を盃に注いで、のどの奥でお湯割りにする。
ある晩のつまみは、ゆでた落花生にサツマイモのてんぷら、それに「仙台名産
鐘崎の笹かまぼこ 大漁旗」だった。
笹かまぼこは楢葉町の知人の仙台みやげだ。顔を出すたびに手づくりのおかずや酒のつまみを持ってくる。ありがたいことである。それでカミサンの台所仕事が一つ減る。
落花生は海に近い農村部に住む後輩が、自分の家の畑で栽培した。サツマイモも届いたが、それは別の日に焼きいもになって出てきた。
後輩の家は前と後ろに長い畑がある。一角を借りて家庭菜園として野菜を栽培している人もいる。
今でも記憶にあるのは4年前(2021年)の秋のお福分けだ。軽トラで庭まで乗り入れ、荷台からスイカ、トウガン、メロンといったウリ科の大物を玄関の上がりかまちに置いた。どれも大きくて重い。全部、後輩が栽培したものだった。
たぶんそのころか翌年あたり、パパイアの栽培を始めた。最初はビニールハウスで、今は裏の畑で。
海外生活を経験し、向こうでパパイア料理に親しんだのが大きいようだ。今年(2025年)もお福分けが届いた。落花生とサツマイモのほかに、パパイアとトウガンがあった=写真。
4年前の大物のときは「ドカン」という感じだったが、今回は「ドサッ」という感じだ。こちらもまとめて持つと重い。
食べきれないので、いつものようにお福分けのお福分けをする。おもしろいことに、古着や不要になった食器だけでなく、野菜も届いては出ていく。そして別のものが来る。
衣食住でいえば、住=建物はハブ空港、そこを起点に人が、モノが行き来する。野菜や果物は金銭を伴わない移動だから、こちらも、そして向こうも少しは家計の足しになっているはずだ。
後輩のトウガンは薄く刻んで吸い物になった。びっくりするほどやわらかい。味が染みている。
悩ましいのはパパイアだ。初めて青パパイアをもらったとき、「皮をむく、切る、水にさらす。それからサラダにして食べる」。そう教えられた。
しかし、それでも硬い。どうしたらこの硬さがほぐれるのか。ネットで探ると、炒め物、煮物、せん切りのてんぷらやきんぴらもいい、とあった。つまりは、もっと薄く切る。細くする、ということだろう。
その延長で浅漬けにすると、少しはしんなりしたが大根のようにはならない。ずいぶん稠密(ちゅうみつ)な食材だ。
で、パパイアは今回、楢葉町の知人の家に飛んで行った。知人は農家レストランを開いている。パパイアを見て、「これ、何?」と驚く客がいたという。そういうカルチャーショックもたまにはいいものだ。
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