2026年9月3日木曜日

出穂期

                               
   稲田の上を揺れ飛ぶカイト(凧)のタカを見たのは8月中旬=写真。夏井川渓谷の隠居へと、いつもの田んぼ道を進んでいたときだ。

 「そうか、水稲は出穂(しゅっすい)期に入ったんだ」。水稲の生育サイクルはよくわからない。が、同じ田んぼ道を何十年も通り、同じ風景を眺めているうちに、なんとなくそんな時期に入ったことを感じるようになった。

地域の会合で農家の人と話すことがある。問わず語りの話から、5月は田植え、秋は刈り入れ、その間の8月は稲の花が咲くとき、というくらいのことは知っている。

大手メーカー・クボタのホームページに「クボタの田んぼ」がある。これを参考に、8月の田んぼの様子を頭に入れる。

――田植えをしてから早稲(わせ)では約50日、晩稲(おくて)では約80日後に穂が出る。

その田んぼで一番早い穂を「走り穂」、田んぼの半数の茎が出穂する時期を「出穂期」という。

稲は出穂後に葉で光合成をしてブドウ糖をつくり、穂に送り込んで貯める。これがやがて「米」になる。

穂が出ると、稲は全精力を穂に集中する。摂取した養分は米をつくるために注がれる。

このため、根が弱体化してくる。根の働きを助けるためには、田んぼの水を換えて根に酸素を補給したり、有毒ガスを取り除いたりする必要がある――。

稲は穂を出すとすぐ開花・受粉し、ほどなく籾(もみ)の中に胚(はい)ができる。胚ができると養分をデンプンにして、胚乳として籾に蓄える。

初期の胚乳はミルク状で、スズメはこれを非常に好む。くちばしで籾を押しつぶし、胚乳を吸い取る。このあたりもネットに教えられた。

さて、ダミーといえば案山子(かかし)である。これは昔からなじんでいる。それに、鳴子、防鳥ネット、きらきら反射して光るテープも記憶にある。

自分のブログで確かめると、6年前の8月20日早朝、同じ地区の田んぼ道でスズメの大集団に遭遇した。数は100羽前後で、人間が驚いて車を止めてしまうくらいの圧力があった。

そのちょっと前には、別の地区の田んぼで案山子を見た。今思えば、スズメは胚乳狙い、案山子はもちろんスズメ対策だ。

今年(2026年)も、この食害対策としてダミーのタカが田んぼに吊るされた。風が吹くと、いかにもタカのように左右に揺れ動く。

同じ日、隣の地区の田んぼには、翼を閉じて動かないダミーのカラスがいくつも吊り下げられていた。

スズメにしろ、カラスにしろ、最初はダミーに恐れをなすらしい。が、だんだん慣れてしまうのだとか。

1週間後、また同じ田んぼ道を通ったら、風がないためにダミーのタカたちは背中を垂直にしてじっとしていた。

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