日曜日(6月23日)、夏井川渓谷の森を巡った。昨年11月中旬に紅葉ウオーキングフェスタが行われた。「森の案内人」の一人としてウオーキングに加わって以来だから、7カ月余ぶりだ。遊歩道沿いにある立ち枯れのモミの木が根元から折れ、名前の知らない木の幹に大きな穴がいっぱいできていた=写真。穴をあけたのはキツツキだろう。
溪谷にある埴生の宿(無量庵)の管理人として、雨戸を開けに行くたびに対岸の森を巡った。3・11後は、その習慣が中断した。タマゴタケ、アカモミタケ、チチタケ、ヒラタケ、アミタケ、……。採っても食べられないなら、森を巡る意味がない。そんな気鬱が「森歩き」にブレーキをかけた。
この中断は長すぎる。いつまでもへこんでいてはいられない。森の奥を見てこよう。そう決めて久しぶりに足を運んだ。
立ち枯れのモミは十数年、見続けてきた。葉がこずえから枯れ落ち、やがて樹皮がはがれ落ちた。キツツキが幹をつついて穴をあけた。根元におがくずが散らばっているので、なんだろうと見上げたら、「つつき穴」があった。そんなことがよみがえる。横倒しになっているモミは意外と長かった。
名前知らずの木に穴をあけたのはアカゲラか。大人のこぶしが入るくらいに大きい穴もある。近くの倒木にキノコが生えていた。写真を撮った。それだけで心が晴れやかになる。これが「森歩き」(ただの散歩もそうだが)の効用、と思ったとたん、イノシシのことを思い出した。
無量庵は小集落の一角にある。朝、子ども用の花火の音がした。イノシシが現れたにちがいない。今、この森にいるのはオレとイノシシだけかもしれない、ばったり出合ったらどうしよう。急におじけづいて遊歩道を引き返した。
1 件のコメント:
オオカミの顔に見えます
目 口 耳
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