2009年9月29日火曜日

欧州のカラス


北欧へ足を踏み入れて初めて出合った生き物はカラスだった。といっても、日本のカラスとは異なる。30年以上、『鳥類図鑑』をパラパラやっていたので、すぐカササギとコクマルガラスだと分かった。

カササギはスウェーデンのホテルに泊まった翌朝、まだ薄暗いうちにカーテンを開けて窓から外をのぞいていたら、つがいで向かいのビルに現れた。頭と顔・胸は黒、肩と腹は白。尾は黒く長い。実際には、肩から尾羽にかけて青みがかかっている。きれいな鳥だ。体の色のデザインは背中が灰色とブルーの、同じカラス仲間のオナガに近い。

日本では佐賀県を中心に、九州北部に生息する。豊臣秀吉が16世紀末に朝鮮出兵をした際、肥前・筑後その他の九州の大名が持ち帰ったのが繁殖し、今に続いている、ということだった。佐賀県の県鳥に指定されている。

一方のコクマルガラスは、漢字では「黒丸鴉」と書く。カラスとしては最小の部類に属する。ドバトよりほんの少し大きい程度だ。大陸の東側に生息するのと、欧州に生息するのとではタイプが違うらしい。欧州のコクマルガラスは、「ニシコクマルガラス」という=写真。虹彩が白い。「メジロガラス」と呼んでもいいくらいだ。

ニシコクマルガラスとは、ストックホルムの市庁舎が立つ湖畔で初めて遭遇した。スズメの仲間のイエスズメもそうだが、向こうの鳥は平気で人間のそばにやって来る。日本では稲作農耕文化が人間とスズメとの緊張関係を生んだが、それがないのだろう。北欧で受けたカルチャーショックの一つがこれだった。

ちなみに、市庁舎のホールはノーベル賞の晩餐会・舞踏会に貸し出される。日本と違って、住民登録などが行われるのは税務署だという。市庁舎には市議会の議場があった。贅を尽くした建物だった。

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