仕事帰りのおばさんが声を張り上げた。「ネズミ!」。「おっ!」私もつられて声を出した。いわき市の国道6号常磐バイパス終点、神谷ランプに設けられた歩行者・自転車専用トンネル内での出来事。
足元に小さなネズミが立ちすくんでいる。人が姿を見せても逃げない。で、予期せぬ生き物に待ち伏せされておばさんはギョッとした、というわけだ。早速、撮影態勢に入ると、おばさんが反応した。「カメラで撮るの?」「ええ」。〈なんて男だ〉とでも思ったか。
パチパチやりながら観察していると、ネズミは踏ん張りが利かなくなったのか、ゆっくり倒れるように足を曲げて横になった=写真。「ネコイラズでも食ったんでしょう、これは」。私が言うと、おばさんは納得したようにその場から去った。
私も歩き出したが、ちょっと考えてネズミを観察することにした。哀れなネズミの最期を見届けてやろう、という気になったのだ。
1分ほどたったときだろうか。ネズミは不意に立ち上がり、少しキョロキョロしたかと思うと、トンネルの隅に沿って走り出した。〈何だ、死んだふりか〉。ネズミはトンネル内に吹き寄せられた落ち葉を隠れ蓑にして足を止めた。頭は隠れたが尻は丸見え。しばらくそこにとどまっていたあと、トンネルを出てそばの草むらに消えた。
なんというネズミの“演技”だろう。人が現れても逃げられないほど疲れていたのか、人に見つかったから死んだふりをしたのか。よく分からないが、今まで経験したことのないネズミの行動だ。というより、ネズミを見るのは、飼い猫が誇らしげにくわえ、もてあそび、放棄して、カミサンが「キャーッ」と叫んだときくらいだ。
国道の西側は住宅地、東側は夏井川。ヨシ原の広がる河川敷にはカヤネズミが生息している。チョウゲンボウが狩り場にしているので、それと分かる。カヤネズミが迷い出たのか。それとも野生のハツカネズミが姿を見せたのか。ともかくもこうして写真を撮ることができた、という事実だけは残った。
カヤネズミだろうか、ハツカネズミだろうか――。知っている人がいたら、教えてほしい。
足元に小さなネズミが立ちすくんでいる。人が姿を見せても逃げない。で、予期せぬ生き物に待ち伏せされておばさんはギョッとした、というわけだ。早速、撮影態勢に入ると、おばさんが反応した。「カメラで撮るの?」「ええ」。〈なんて男だ〉とでも思ったか。
パチパチやりながら観察していると、ネズミは踏ん張りが利かなくなったのか、ゆっくり倒れるように足を曲げて横になった=写真。「ネコイラズでも食ったんでしょう、これは」。私が言うと、おばさんは納得したようにその場から去った。
私も歩き出したが、ちょっと考えてネズミを観察することにした。哀れなネズミの最期を見届けてやろう、という気になったのだ。
1分ほどたったときだろうか。ネズミは不意に立ち上がり、少しキョロキョロしたかと思うと、トンネルの隅に沿って走り出した。〈何だ、死んだふりか〉。ネズミはトンネル内に吹き寄せられた落ち葉を隠れ蓑にして足を止めた。頭は隠れたが尻は丸見え。しばらくそこにとどまっていたあと、トンネルを出てそばの草むらに消えた。
なんというネズミの“演技”だろう。人が現れても逃げられないほど疲れていたのか、人に見つかったから死んだふりをしたのか。よく分からないが、今まで経験したことのないネズミの行動だ。というより、ネズミを見るのは、飼い猫が誇らしげにくわえ、もてあそび、放棄して、カミサンが「キャーッ」と叫んだときくらいだ。
国道の西側は住宅地、東側は夏井川。ヨシ原の広がる河川敷にはカヤネズミが生息している。チョウゲンボウが狩り場にしているので、それと分かる。カヤネズミが迷い出たのか。それとも野生のハツカネズミが姿を見せたのか。ともかくもこうして写真を撮ることができた、という事実だけは残った。
カヤネズミだろうか、ハツカネズミだろうか――。知っている人がいたら、教えてほしい。
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