2009年9月15日火曜日

渓谷にもアレチウリ


夏井川渓谷(いわき市小川町)は福島県立自然公園に指定されている。土地や景観を改変するような工事には当然、制約がある。この10年余、無量庵のある牛小川とその周辺で行われた公共工事はとなると、林道整備・橋架け替え・道路改修・行楽客用のトイレ設置などにとどまる。私有地では廃屋の解体、老朽家屋の解体と敷地内の杉林伐採くらいだろう。

ざっと10年前、尾根の送電塔を建て替えるためにヘリコプターが資材を運搬することになった。その中継基地が無量庵の真下のヨシ原につくられた。ホバリングをしながら資材運搬を繰り返した。その翌々年だったか、刈られたヨシ原跡にセイタカアワダチソウが侵入した。黄色い花が強烈な印象を残した。

セイタカアワダチソウはほどなく姿を消し、元のヨシ原に戻った。そのため、夏井川渓谷にはセイタカアワダチソウのような外来植物は侵入しにくいだろうと思っていた。ところがどうだ、セイタカアワダチソウをしのぐ外来植物がいた。アレチウリだ。

無量庵の対岸に水力発電所の巡視路を兼ねた遊歩道がある。道を歩き出した途端、岸辺のやぶをアレチウリの葉が覆い、つるがそばの2本の高木まで伸びているのに気づいた=写真。〈ここまで入り込んで来たか〉。根は1本らしかった。ちょうど長い柄のついた小鎌を持っていたので根元の方からつるを刈り払った。

アレチウリに気づくと、無量庵の周囲にある空き地が気になりだした。空き地という空き地は草で覆われている。クズやヤブガラシばかりかと思ったら、あった。前の公衆トイレ跡と廃屋跡の間。かなりの面積をアレチウリの葉が覆っていた。

用事があって上流の川前町へ行った。ここにもアレチウリがあった。水田わきの1本の木はすっぽり覆われていた。紅葉のライトアップが行われる「山の食・川前屋」の崖に生えている木も半分アレチウリの葉に日光を遮られていた。鳥が種を運んだか、大水のときに上流から種が流れ着いたか。

川筋のアレチウリは上流から下流へと生息範囲を広げるという。夏井川はすでに平・中神谷の下流部までアレチウリが進出して来た。その先、河口に近いヨシ原がアレチウリに侵略されるようだと、ツバメのねぐらも消滅する。そんな事態が懸念される。いずれにしてもぼんやり、のんきに構えてはいられない。

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