2009年9月14日月曜日

渓谷の突風


「きょうも山(夏井川渓谷)の帰りですか」「そう、すごい風だった。桐の木の枝が折れちゃった」「えっ、こっちは風なんかなかったですよ。蒸して暑かったですよ」「えっ」。お互いにびっくりした。きのう、9月13日のことだ。

日曜日は夏井川渓谷の無量庵で過ごし、夕方、家に戻って、ちょいと先の魚屋さんまで車でカツオの刺し身を買いに行く。初夏から晩秋まで、ほとんど変わらないパターンだ。

いわきは「平成の大合併」が始まるまで、市としては日本一の広域都市だった。北部の夏井川と南部の鮫川の二つを軸に、「うみ(海岸部)・まち(平地)・やま(山間部)」が連なる。これだけ広いと「やま」と「まち」の気象は同じではない。「うみ」と「まち」、「まち」(北)と「まち」(南)の気象もそうだ。

夏井川渓谷には朝7時前に着いた。雨が去って青空が広がり、風は冷たかったが、まだ弱かった。時間がたつにつれて西風が強まった。時折、突風が部屋の中の紙を吹き飛ばす。庭の奥の方で「ドサッ」と鈍い音がした。そのときは気づかなかったが、畑のそばの桐の木の枝が折れたのだ=写真

この桐の木は前に幹が折れ、残った枝が4本、空に向かって伸びていた。今度はそのうちの一番太い1本が折れたのだ。そばの物置を直撃していたら、トタン屋根がひしゃげたかもしれない。前も今度も建物にはさわらなかったのが幸いだった。

夕方、帰宅後。魚屋さんが渓谷の強風の話に驚いて言った。「こっちは蒸して風がなかったですよ。それで魚を干すのをやめたくらいなんですから」。干し魚をつくるには乾いて冷たい西風が必要。その風がなかった。南の風は湿っているので魚を干すのには適さないのだという。

「やま」と「まち」、そして風。いわきの中の“風土”の違いをあらためて考えさせられた。

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