2016年3月17日木曜日

暮らしの伝承郷

 日曜日(3月13日)にフランス人写真家のデルフィーヌと、彼女の友達3人(2人は日本人)をいわき市暮らしの伝承郷に案内した。
 日本人の同行者が古民家に興味を持っていた。男性は京都の山里で訪日外国人向けの里山ツーリズム事業を立ち上げた。ならば、いわきの古民家を見るのもいいのでは――伝承郷の元ボランティアガイドでもあるカミサンが勧めた。

 いわきの「縄文」を知りたい――これはデルフィーヌ。そのうち「歴史」も知りたい、となった。では、こうしようと提案したのが、いわきの中央部(伝承郷)~南部(勿来関文学歴史館)~その中間(考古資料館)と巡って、湯本の温泉旅館でかけ流しのお湯につかることだった。

「人間ナビ」になって車で車を案内した。伝承郷にはいわきの古民家が5棟ある。丘をはさんで手前の3棟、真ん中の旧猪狩家を中心に、両隣の旧高木・川口家を見た。カミサンが中に入ってあれこれ説明した。旧猪狩家の庭には、その家で生まれ育った詩人猪狩満直の詩碑がある。こちらは私が説明した。

 里山ツーリズムを手がけている男性が旧猪狩家を見るなり、京都の古民家との違いを指摘した。旧猪狩家には屋根の上に小さな屋根(煙出し)がある。京都のかやぶきの家にはそれがない。煙は屋根の端から出すらしい。なるほど。煙出しにも垂直と水平の違いがあるのか。
 
 曇天のうえに少し寒かった。そうこうしているうちに、周囲の丘(雑木林)からウグイスのさえずりが聞こえた。2年ほど前までは朝晩、夏井川の堤防を散歩していた。散歩を続けていればもっと早く初鳴を聞いたはずだ(そうだ、夏井川のハクチョウも先週末には姿を消した)。
 
 民家を見たあとは管理棟の常設展示室をのぞいた=写真。企画展示室では「炭鉱(やま)への想い 菊地正男作品展Ⅱ」が開催中で、たまたま知人が2人、ボランティアで受付をしていた。次は勿来文歴だ。車で30分はかかる。いわきの広さをあらかじめ伝えておいた。
 
 バイパスを南下して文歴に着くと、彼が言った。「天心記念五浦美術館が近いんですね。私、天心が大好きなんです」。では、見終わったらそこへ行こう、昼食もそこでとろう――となった。(続く)

0 件のコメント: