土曜日(3月19日)にドイツの二つの新聞、フランクフルター・アルゲマイネ=写真=とフランクフルター・ルントシャウ(いずれも3月11日付)が届いた。
「震災アーカイブ事業」に取り組むいわき明星大の客員研究員が、1月から3月末までドイツのフランクフルト大に短期留学中だ。同大で27日まで日本の東日本大震災展が開かれている。研究員が展示・解説を担当した様子が11日付のルントシャウに載る=写真左。1ページ全部を使っている。見出しの「ダス・フクシマ・アルヒーフ」は「福島アーカイブ」ということだろう。
研究員とは震災の年の暮れに東京で知りあった。その後、いわき明星大に職を得、ときどきわが家へ来るようになった。で、その気安さもあって、ドイツの新聞は丸5年がたつ東日本大震災をどう伝えるのか、3月11日付のアルゲマイネがほしいと言ったら、航空便で送ってよこした。ありがたいことだ。
アルゲマイネはブランケット判(福島民報・民友と同じ大きさ)の全国紙、ルントシャウはタブロイド判(いわき民報と同じ大きさ)の地元紙だ。ドイツ語はわからない。が、「アベ」「ツナミ」「フクシマ」といったキーワードから、アルゲマイネが「原発震災」から丸5年の日本を1面トップで報じたことはわかった。
1面写真のキャプションに「ナガツラ」とあった。月命日の11日に、警察は大津波で行方不明になった人たちの捜索を続けている。宮城県石巻市・長面(ながつら)の海岸で黙祷をささげる捜索隊の姿に、こちらも厳粛な気持ちになった。
アルゲマイネを手に入れたかった理由は、もうひとつある。同紙の前身、フランクフルター・ツァイトゥングは、ナチス・ヒットラーの時代に休刊に追い込まれた。戦後、後継紙として復活したのがアルゲマイネだ。ヒトラーに迎合した新聞は戦後、息の根を止められた。
日本の新聞はどうか。戦時中、「大本営発表」を報じ続けながらも、GHQの占領政策のなかで生き延びた。ドイツと日本の新聞では「覚悟」が違う。政府の言いなり、いや政府の御用を買って出る新聞があらわれるのは、こんな歴史が影響しているのではないか。
ま、それはさておき、3月11日の翌日、福島県が、全国紙5紙に5年間の支援に感謝する全面広告を載せ、二つの県紙にそういう広告を載せたという全面広告を載せた。6年目の頑張りを示すユニークな広告だった(誰がつくったかは容易に想像がついた)。
共同電によれば、政府もアルゲマイネなどに現地の大使名で感謝の広告を載せた。11日付のアルゲマイネには載っていないから、前日に広告が載ったのだろう。研究員がフランクフルトにいるというだけで、ついつい新聞の東西、歴史にまで愚考が及んだ。
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