ある日、インド料理店「マユール」を経営していた奥さんがやって来た。米屋をやっていたころ、「お得意さん」だった。お母さんもよく知っている。
「マユール」と同じところで「チャイコタ」というカフェを始めたという。「チャイコタ」の「コタ」はネパール語で「部屋」という意味だそうだ。
ドリンク1杯のサービス券が付いたミニメニュー表を持参した=写真。それによると、チャイを主体にしながらも、ポークキーマカレーのランチも出す。
ドリンクに「マンゴーラッシー」、フロートに「ラッシーフロート」があった。「ラッシー」とは? ネットには、インドや南アジアで親しまれている、ヨーグルトをベースにした飲み物、とあった。
「マユール」が「チャイコタ(チャイの部屋)」に生まれ変わったことは、つい先日、フェイスブックの友達からの情報で知った。「チャイでも飲みに行くか」。そう思っていた矢先のサービス券持参だった。
もともとは新舞子海岸にあった。東日本大震災で大津波の直撃を受け、人的被害はなかったものの、「全壊」の判定を受けた。
その10カ月後、奥さんの実家の一角を利用して、規模を縮小しながら再オープンした。夫はネパール人。以前のように向こうのシェフを雇う余裕はない。夫と2人だけの再出発だった。
「マユール」はわが家から車で5分ほどのところにある。今年(2025年)5月中旬、惜しまれながら閉店した。
わが家はカミサンの実家(米屋)の支店を兼ねていた。本店が去年の秋、米穀の新年度(11月にスタート)を前に米屋を廃業した。米の配達をやめて半年後の閉店だった。
マチの商店などでは高齢による体調不安、後継者不足などから営業の継続が難しくなっているところが少なくない。個人営業のところはいつかその問題に直面する。
「チャイコタ」の営業時間は午前11時半から午後4時まで。無理のない範囲で店を開いているということだった。
定休日は月・火曜日で、家事の都合で随時休業もあるようだ。その点はわが家も同じだ。
米屋をやめてカミサンの趣味の店と地域文庫だけになってからは、マチに用事があるときは一時店を閉めて出かける。年をとっているのだから、もうゆるやかでいい。
で、10月の末に「チャイコタ」を訪ね、「10食限定」という「お得なランチセット」で腹を満たした。
ドリンクにはチャイを頼んだ。サービス券は、食事ではなくチャイだけを飲みに来たときに使ってくださいというので、そうすることにした。
なにはともあれ、チャイの部屋として再出発した。ゆっくりと、休み休みでもいいから、長く、長く続けてほしい。