意識して「道端ウォッチング」をしているわけではない。山中の林道を行くと、道の両側から背の高い草が「うらめしや~」をしている。
こういう植物は運転の邪魔になるので、草に触れないよう道の中央を走ることになる。対向車がいないからこそできることだ。
新しい切り通しはもちろん、平地の道路でも縁石のすき間から草が生えてくる。時に車の側面に触れることがある。茎がのびて花が咲くと、なんという花なのか気になる。
それでわかったのがオオキンケイギクやフランスギクなどの侵略的な帰化植物だ。この時期はシンテッポウユリが群れ咲いている。
同じ帰化植物のビロードモウズイカはわが生活圏に突然現れた、という印象が強い。最初に気づいたのは10年くらい前だろうか。
夏井川渓谷の隠居の近く、磐越東線と並走する県道小野四倉線の道端に生えていた。
肉厚で毛深い大きな葉を地べたに広げて越冬し、夏には1メートル以上も花茎をのばして、先端部分に黄色い小花をいっぱい付ける。
セイタカアワダチソウみたいに群生するわけではない。渓谷ではなぜかそこに1本だけ偶然に生え出た、そんな印象だった。
それから何年かたって、いわき駅の東方、イトーヨーカドー平店が解体されて更地になり、常磐線わきの2階建て駐車場も消えて、長い裸地ができた。
4年前の5月末、ロープで仕切られた駐車場跡地を見ながら車で通ると、大きな緑のかたまりが点々と生えていた。
緑のかたまりは夏井川渓谷の道路沿いで見た変な形の植物と似ている。ここは名前を突き止めないと……。
「葉が大きく分厚い/背が高い/草』で検索すると、ビロードモウズイカが出てきた。画像はまさしく渓谷で見たものと同じだった。
そのあとしばらく姿を見ないと思っていたら、今年(2026年)夏、渓谷から平の平窪に下りてきたら、道端に長い茎を伸ばして黄色い花を付けているビロードモウズイカに出合った=写真。
この植物はゴマノハ科モウズイカ属で、ヨーロッパが原産だという。日当たりのよい、攪乱された土壌を好むそうだ。
しかし、ほかの植物の陰に入ると耐性がない、耕起されると生き延びられない、ということで、農作物には大した害はないらしい。
種子は10年以上、時に100年以上もの間、発芽能力を保つのだとか。山火事になってほかの植物が消えた焼け跡に、突如、ビロードモウズイカが芽生えたりするという。
道端では渓谷で1本、遠く離れた平窪で1本と、単独で生えていたが、旧ヨーカドー駐車場跡地では大量に発生していた。
ヨーカドー跡地には複合商業施設(ペッペ)が開業し、駐車場跡地はペッペに出入りする車道になって、ラウンドアバウト(環状交差点)に接続している。ビロードモウズイカの種は再び車道の下で深い眠りに入ったか。
平窪のビロードモウズイカは、ほぼ1カ月後も細い先端部が黒ずんだままだった。花もほんの少し付けていた。けっこうな寿命らしい。