春に転居するという知人から電話が入った。「瀬戸物がいっぱいある。要るものがあれば持って行って」という。
「ダンシャリして出たものは引き取るから」。前にカミサンが伝えていた。で、指定された日時に、アッシー君をして出かける。
知人の家に入ると、空き部屋になっていた広い1室に、大小さまざまな紙箱が足の置き場もないほど並べられていた。中には陶器や漆器、シーツやタオルなどが入っている。
カミサンが「回収」するものを選び、私がそれを車に積み込む。1回では収まらないので、いったん家に持ち帰ったあと、また引き取りに行った。
車のトランクと後部座席に積み込むこと2回、ダンシャリで出たリサイクル品をわが家の茶の間に運び込むと、6畳2間の半分が「物置」になった=写真。
夜中に茶の間の明かりをつけるとき、そして玄関から出入りするとき、つまずかないように「通路」だけは確保して寝る。
翌朝、カミサンが食事のあとにこれらを整理した。陶器は陶器、漆器は漆器、シーツ類はシーツ類と、分けられて収まるところに収まったのだろう。
食器類は店の一角に並べられ、必要な人に引き取ってもらう。その際、善意のおカネが入れば、あとでシャプラニール=市民による海外協力の会(東京)に寄付する。
震災後はとりわけ、こうしたリサイクルやダンシャリが増えた。そのために小名浜へ、平の団地へ、旧市街へ、双葉郡広野町へと、行き先も広範囲にわたった。震災がらみの解体、原発避難がらみの移動に伴う整理が多かった。
不思議なことに、いったんは集まったモノがいつの間にかなくなっている。わが家はリサイクルの中継地、あるいは「ハブ空港」のようだ。今度の食器なども飾るとすぐ、少量を引き取る茶飲み友達が出てきた。
古い布やタオルは、義弟が利用していたデイケア施設に贈る。施設では、利用者の体の一部をふくのに布類が欠かせない。いくらあってもいいという。
古着は袋に入れて、店の前のかごに入れておく。必要な人がときどき、買っていく。不要になったからと持ち込んで来る人もいる。
古着が一番多い。個人の家では保管するにも限度がある。たまると、市役所駐車場の「古着回収ボックス」に運ぶ。
前は古着リサイクルのNPO法人ザ・ピープルのスタッフが回収に来た。それが滞っているために、同団体の古着回収ボックスまでこちらから運ぶようにしている。
さて、今回のダンシャリ回収では、家の庭から柵をはさんだ駐車場へ、そしてわが家の庭から玄関へと、わずかな距離の積み込み・積み下ろしだったが、歩数計では1500歩になった。
なにしろモノの数が多い。1回往復30歩として計50回は積み込み・積み下ろしをした計算になる。これだけでヘトヘトになった。