2009年10月8日木曜日

北欧のアンズタケ


先の北欧旅行で、スウェーデンに住む同級生や、現地の日本人ガイドに、わりとしつこくキノコのことを尋ねた。列車やバスで移動中も、車窓からすぐの草むらを見続けた。キノコらしい立体物は3、4個しか目に入らなかったが、キノコが生えるにはいい環境の中を車が走り、列車が通っている。

ヨーロッパに限らず、陸続きのロシアでも、中国でもキノコは大いに食される。いや、日本にも愛菌家は多い。しかし、食文化の広がりという点では、圧倒的にユーラシア大陸が勝るのではないか。日本ではキノコが腐りやすい、ということも関係しているかもしれない。

で、旅をしたのは「森と湖の国」といわれるスカンジナビア半島だ。キノコが身近な食材であることは容易に想像できる。同級生に「キノコはどう?」と聞くと、和名は分からないが「カンタレッラ」が採れる、炊き込みご飯にする――という答え。

スウェーデンでご飯にこだわる人間がいた。炊き込みご飯にするにはシメジ系かと、その場では思ったが、違っていた。

その晩、ストックホルムのホテルから街に繰り出し、別のホテルのレストランで夕食をとった。ビールとワインのあとに食べたのが、魚とキノコ(カンタレッラ)のグラタンのようなもの。形や歯ごたえから、ツアーリーダーに「カンタレッラはどうもアンズタケらしい」というと、「そう言っていた」。このリーダーはいつ、誰に聞いたのだろう。

和名が分かった以上は形が目に浮かぶ。翌日から、アンズタケを見る態勢ができた。野外ではお目にかからなかったが、ノルウェーのヴォスのコンビニ、デンマークのコペンハーゲンの果物屋で、生のアンズタケを売っていた=写真。夏から秋がピークらしい。

私がふだん眺めているキノコ図鑑には、アンズタケは欧州では食味性ではハイクラスの食用キノコとして人気がある、生タケはもちろん缶詰、乾燥品も一般に市販されているが、日本ではいまひとつ人気がない――とある。私もせいぜい湯通しをして酢の物にする程度だ。

しかし、欧州流の料理法もあることを知った以上は、そこまで視野を、ウデを広げたい。キノコに限らず、物の見方・考え方がそれで少しは広がるのではないか――そんな思いを抱く。
                  ☆
目を覚ましたら、台風18号の強風圏内に入っていた。風がうなり声を発している。新聞が袋に入って届いていた。きょう(10月8日)は家にこもって強い雨風をやり過ごすしかない。台風一過のあとは、まず夏井川を見て、近くの里山に入る。台風の影響はそこにも及んでいるはずだ。

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