大人の足の親指ほどの太さに育ったのが、精いっぱいだったか=写真。秋に辛み大根の種をまいた。通常の大根よりは1カ月余り種まきが遅れた。出来は期待できない。先日、初めて収穫したら、やはり未熟なものが多かった。
それよりなにより、冬は畑の表土が凍る。夏井川渓谷では、厳寒期には凍土の厚さが5センチにもなる。アイスピック代わりにスコップを下ろしてもはね返される。そこをガチガチやって凍土にひびを入れ、はがして、辛み大根を引き抜く。ほんとうはそうなる前に収穫できるよう、種まき時期を遅らせてはいけないのだ。
まずは大根おろしだ。醤油をたらしたのを口に含む。ひとくち、ふたくち目はあまり辛さを感じない。みくち目あたりから舌が驚く辛さに変わった。なるほど辛み大根だ。残りの未熟な根と葉は? 浅漬けにする。ご飯にまぜれば「菜飯」になる。口に入れたらいつまでも根が硬くてこりこりしている。こちらは、歯が丈夫でないと難しい。
このがんこな大根は会津が産地だという。会津から知人のもとに届いた種が回ってきた。播種~栽培~収穫~採種~保存~播種のサイクルに、人と人とのネットワークが結びついて、「種の道」ができる。逆に、サイクルの一部でも切れると種は途絶える。
種は強くて、危うい。いわき市はそこで、市民の力を借りて「昔野菜」の栽培・採種拡大策を展開している。
あさって(1月29日)、中央台公民館で3回目の「いわき昔野菜フェスティバル」が開かれる。イベントの締めは「種子配付会」だ。この種子配付のおかげで、家庭菜園でいわきの昔野菜を栽培している人が増えた。辛み大根の種をくれた知人もその一人だ。再会したら、まずはお礼を言おう。
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