この1カ月余、家の中で過ごすことが多かった。外出すると言っても、近所の郵便局へ年賀はがきを出しに行くか、街まで用があったときに車で出かける程度。極寒期を迎えつつあるから、庭に出て空を仰ぐことも、霜枯れた地面の緑を見ることもなかった。
病院へ出かける朝、庭に出てなんとなく家の周りを眺めていたら、マサキの生け垣にメジロがやって来た。すぐ車からカメラを取り出して、生け垣にレンズを向ける。が、マサキは常緑。メジロの体の色が葉の色に同化してどこにいるかさっぱりわからない。柿の木に移ったところをやっと撮影した=写真。
マサキは葉の上部から赤い実をのぞかせていた。メジロの身には余る大きさだ。が、実は十字に裂けている。ちぎりやすい。軟らかい実と硬い実がある。軟らかい実を噛んでみた。甘みはなかった。でも、メジロがこの実をつつきに来たのは確かだろう。
わずか数分間のできごとだったが――。運よくメジロをウオッチングすることができた、カメラに収めることができた、というだけで、二日連続で病院へ向かう気鬱が晴れた。朝晩上空を行き来するハクチョウがそのとき現れたら、もっと元気が出たに違いない。「病牀六尺」でさえ広い世界、庭はその何倍も大きなワンダーランドだ。
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