第49回吉野せい賞表彰式が11月1日、いわき市立草野心平記念文学館で開かれた。4人の選考委員を代表して入賞作品の選評と総評を述べた。
式が始まるのは午後1時だが、事前にリハーサルが行われる。このとき初めて生身の受賞者を知ることになる=写真。
今年は火星ネズミさんの「牡蠣(かき)とオパール」が吉野せい賞を受賞した。正賞が出るのは2年ぶりである。
奨励賞は、なかむらまさゆきさんの「白波を読む」、渡邉碧羽(あおば)さん=磐城高校3年=の「百昌(ひゃくしょう)の調べ」、赤ぺこさんの「比留田家のこと」の3編。
青少年特別賞は「かるたっ娘(こ)」の櫛田理央さん=東日大附属昌平中学校2年=が受賞した。
事務局は市文化振興課である。毎年のことながら、8月の月遅れ七夕のころ、同課から応募作品のコピーが届く。
今年は前年、前々年より10編余り多い43編だった。毎日3~4編のペースでお盆を除く12日間、文字を追い続けた。
60代以上のシルバー世代の応募が半数余を占めた。年齢を超えた旺盛な創作力・エネルギーは、吉野せい賞の特徴の一つでもある。
応募数が増えると質的な波も大きくなるが、今回は読みごたえのある作品が多かった。数こそ少ないものの、10代、20代、40代、50代の作品にも佳品がそろった。
全作品を読み終えるころにはクタクタになるのが通例なのに、今年は疲労を全く感じなかった。むしろ爽快な気分だった
選考委員会では「2年分、つまり正賞2編、準賞2編、奨励賞6編を選んでもいいくらい」という声が出たことを総評で紹介した。
年長の選考委員の務めとして、年に1回はいわき記者クラブで会見に臨む。今年(2026年)は10月13日に行われた。
そして、今度の表彰式である。それが済むと、今年の選考委員としての役目は終わる。
せいの四男誠之さん=昭和10(1935)年10月25日生まれ=は毎年、遺族を代表して表彰式に臨席していたが、式を間近にした10月6日に亡くなった。満90歳だった。誠之さんがいないことに、やはり一抹の寂しさを感じた。
それと、これは偶然なのだが、受賞者の一人、赤ぺこさん(「赤べこ」ではないことを本人に確認した)から式の前にあいさつを受けた。会うのは初めてではなかったようだ。
そのときはどこで会ったのか、思い出せなかったが、あとで応募用紙に記されている本名を見て、「いわき昔野菜保存会」の仲間らしいことがわかった。黒ぶち眼鏡に惑わされたのかもしれない。
昔野菜関係では、かつて調査員をやっていた人も以前、奨励賞を受賞している。なにか土と野菜が創作意欲をかきたてるようなところがあるのだろうか。
そのときも表彰式で生身の受賞者と会い、「あれっ」となった。地方の文学賞の妙ではある。
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