2026年10月22日木曜日

情報公開の目的

                       
    記者として市役所と市議会を担当していたころ、だれにいわれたわけでもないが、ときどき「負のトライアングル」という言葉が頭をよぎった。

 記者会見は週に1回。それを待っていたのでは仕事にならない。毎日、庁内を回り、課長や課長補佐、係長と世間話をしたり、こちらの疑問をぶつけたりしながら、ニュースの材料を拾った。

 そうしたなかで広い見識を持つ職員と知り合い、本音で語り合える関係を持つことができた。アフターファイブには田町で一杯、ということもあった。もちろん、自腹である。

 そんな日々の見聞と本音から浮かび上がってきたのが「負のトライアングル」だった。公務員~政治家~市民の三角関係のことである。

 極私的な見解にすぎない。それを踏まえていうと――。公務員(市職員)は政治家(市議)に弱い=議会で質問される。政治家は市民(有権者)に弱い=選挙で落ちる。市民は公務員に弱い=要望がなかなか実現しない。

 その後、市に情報公開条例ができた。ホームページ=写真=を開いて条例を読むと、第1条に目的が記されている。

行政情報の開示請求は市民の権利であることを、まず述べる。さらに、市政運営の公開性の向上を図り、市民に対する説明責任を全うすることで、市民の適正な理解と批判の下に、公正で民主的な市政推進に資する、と続く。

 条例の狙いは、市民の知る権利にこたえるものだが、しかしそれにとどまらない。「もう一つの目的」があることを、あとで知った。

政治家の働きかけを行政文書として記録に残しておけば、それもまた情報公開の対象になり得る。

公正で民主的な市政の推進には、透明性が欠かせない。つまり、ちゃんと市民に説明できるかどうか、だ。

もう一つの目的を聞いたときに、すぐ「負のトライアングル」を思い出した。予算に対する政治家の「口利き」や「ごり押し」などを封じ込める意味がある、ということと受け取った。

今は辞任した某大臣の「圧力」を報じる新聞を連日読んで、情報公開の話を思い出した。

某大臣は2月の衆院選で落選し、比例で復活した。選挙区内の2市町の首長が対立候補を応援した。

それを根に持ったのか、5月の党支部の会合で、2市町の2026年の道路予算を大幅にカットした、と発言した。

政治家が選挙の恨みからこんな仕返しをするとは、と問題になった。同時に、実際はどうだったのか。口利きがあった結果、予算をカットしたのか。矛先が国交省に向けられた。

すると、「問い合わせ」はあったが、「働きかけ」はなかった。記録は残っていない、という回答だった。

地方自治体の現場をウォッチングしてきた人間からみても、政治家の言動にはより敏感なはずの中央官庁が「面談記録を作らなかった」というのは解せない。

そんなことはもうないと思っていた「負のトライアングル」がまだ生きていた? まさか、とは思うのだが……。

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