大型連休が終わるとすぐいわきキノコ同好会の「最後の会報」が届いた=写真。前に書いたブログを下敷きにして経緯を振り返る。
一昨年(2024年)の師走にいわきキノコ同好会の定期総会が開かれた。会の今後が議論された。
結論からいうと、令和7(2025)年度は従来通り活動し、12月の定期総会を最後に解散する。会報第30号は総会時に発行し、最終号とすることが決まった。
それから季節がひとつ巡ったばかりの4月15日に冨田武子会長が亡くなった。享年86。総会で顔を合わせたのが最後になった。
同好会が発足してざっと30年。会員の高齢化と、それに伴う退会が続いた。令和7年は日本菌学会東北支部の観察会・総会がいわき市の石森山周辺で開かれる。受け入れ団体が地元にないのは寂しい、ということも1年間の会存続につながった。
冨田さんはいわき市内の中学校美術教諭を定年で退職したあと、画家として制作活動に励み、ボタニカルアートも手がけた。
それとは別に、菌類にも造詣が深く、いわきキノコ同好会創設時から会長を務めた。私も最初からの会員で、冨田さんから多くのことを学んだ。
年1回発行の会報にはキノコを取り上げた拙ブログを選んで寄稿した。今回も同じ流れで、冨田さんの思い出を中心に文章を組み立てた。
最後の会報が冨田さんの追悼号になるとは、だれも想像できなかったろう。
第30号の発行は冨田さんの遺志でもある。孫の冨田剛さんが祖母の追悼の意味も込めて、原稿の依頼・編集その他を代行した。
コウタケをツルリンドウが囲む冨田さんの絵が表紙を飾る。目次の裏や本文にも計11点の作品が「さし絵」として載る。表紙画と同様、キノコに季節の花を組み合わせたボタニカルアートである。
図鑑のように精緻で、しかも絵画作品としても観賞できる。あらためて冨田さんの画力、そしてキノコに対する愛と知識の深さに感銘を受けた。
会員のほかに、生前、冨田さんと交流のあった福島きのこの会の会長、日本菌学会東北支部の元支部会長、南相馬市博物館のスタッフも追悼文を寄せた。調査・研究を介したネットワークの広さはさすがである。
後半10年間を会員としてかかわった阿部武さん(石川町)が、会報を基にいわきキノコ同好会の30年を振り返っている。
本会の特徴として、①いわき市内で採集された菌類の記録が充実している②会発足に尽力した故斎藤孝さんによる石森山の菌類調査と解説が充実している③全国的なきのこ中毒者数や原因などが会報で報告されている――などを挙げた。
原発事故後は、野生食用キノコの放射線量測定結果も継続して会報に掲載された。これは非常に貴重な記録と、阿部さんは評価する。手元にずっと置いておきたい。そんな気持ちになる最後の会報である。
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