2012年1月19日木曜日

瞬間電圧低下


東電の「南いわき開閉所」でトラブルが発生し、瞬間電圧低下によって福島第一、第二原発の使用済み燃料プールの冷却装置などが一時停止した。関東など広範囲で瞬間的に停電が発生し、工場では機械の稼働に問題が生じた――おととい(1月17日)のニュースに、いささか寒気を感じた。不整脈から瞬間的に意識が途切れたようなものではないか。

原発事故は収束のためのステップ2(第一発電所の冷温停止状態の達成)が完了したとはいえ、まだまだなにが起こるかわからないことをニュースは教える。政府がいうほど壊れた原発はおとなしくしているわけではないのだ。血(電気)の巡りが悪くなったら、また暴走を始める。開閉所、変電所が“不整脈”から“心筋こうそく”になったら……。

国土地理院の2万5000分の1地図から、トラブルが発生した「南いわき開閉所」と福島第一、第二原発の位置関係を確かめる。そこから思考を組み立てるしかない。

「南いわき開閉所」は田村市都路町古道地内の国道399号沿いにあった。そのことは前にも地図をチェックしていて、だいたい頭に入っていた。

いわき市内からわがふるさと・田村市常葉町へ向かうには4ルートがある。阿武隈高地に入れば道は細分化される。生活道路も含めて頭に入っているのはおおむね9ルート。このところ利用するのは、往路が平~川前(荻)~川内村(国道399号)~都路(国道288号)、復路が常葉~船引~小野~夏井川渓谷というルートだ。

これまでは、「南いわき開閉所」が古道にあるなどと知らずに通過していたが、まさにわがふるさとの市の一角に原発事故を収束するのに欠かせない施設が稼働していた。それどころか、宮城県にある東北電力の女川原発の使用済み燃料プールの冷却ポンプも一時停止した。送電網で「南いわき開閉所」とつながっていたからだという。

送電線は一方通行かと思っていたが、開閉所で送り先をコントロールすることができるらしい。原発は電気をつくって送る源だが、その源が過酷事故を起こし、収束作業のための電気を逆ルートでもらわなければならなくなった。阿武隈の山中でそのためのシビアな送電作業が行われていた。

同じ東電・広野火発からの送電線がいわきの山中を南へと延びている話を前に書いた。夏井川渓谷の入り口、地獄坂をまたぐ=写真=ことも紹介した。地図に書き込まれた送電線をを見るかぎり、広野火発でつくられた電気がいったん、いわき市三和町にある「新いわき開閉所」に送られ、そこから「南いわき開閉所」へと“逆送”されて、原発事故を収束するための電源になっていたのだ、という推測が成り立つ。

きのう(1月18日)、客人を伴って夏井川渓谷の無量庵へ出かけた。広野火発の送電線を見上げながら思った。送電線は単にそこにあるものではなく、原発事故の収束に欠かせない“生命線”にもなる。送電線も、鉄塔も、中継施設もきちんと機能してくれよ、と願わずにはおれなかった。

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