2012年1月12日木曜日
溪谷は雪
きのう(1月11日)は朝食を終えてすぐ、夏井川溪谷へ車を走らせた。年が明けて初めての無量庵行だ。堆肥枠の中に生ごみを埋め、台所や洗面所の水道管を確かめる。毎年、凍結・破損に泣かされているので、様子を見に行かないと落ち着かない。「生ごみ埋め」がいい理由になる。
小雨が車のウインドウを濡らす。山には鉛色の雲がかかっている。平地では雨、一段高い高崎ではみぞれ、さらに高い溪谷では雪かもしれない。
その通りになった。磐越東線の磐城高崎踏切を過ぎると地獄坂。その峠から先が溪谷だ。坂を上りきったら、雨に白いものが交じり始めた。タイヤはノーマル。路面はぬれているが、まだ大丈夫という経験知がはたらく。
江田駅のあたり、V字谷の尾根がうっすら白いものをまとっていた。雪化粧というほどではない。対向車のボンネットに雪のかたまりがのっている。無量庵の隣、錦展望台の広場はと見れば、雪が積もっていた=写真。無量庵の庭も雪をかぶり始めていた。
そうした風景を見ながら、頭はいつの間にか問いを発している。空き地や庭に雪が積もって、アスファルト道路に積もらないのはどうしてか。
車が行き来するせいばかりではないだろう。雨やみぞれで濡れたところに降るから、雪は雪でいられない、すぐ溶けるのだ、きっと――なんて、どうでもいいことを考えるのは、少年のこころに戻っているからだ。大自然の中にポツンと一人でいる効能のひとつである。
無量庵の室温、氷点下2度、畑の土はカチンカチンに凍っている。冬場は、それで生ごみを堆肥枠に埋める。堆肥はなぜか凍らない。スコップで堆肥に穴をあける。丸くなって冬眠しているカブトムシの幼虫が現れる。無事であれば少し堆肥をかぶせてから、バケツの生ごみをあける。
雪はどうだ。降り続くだろうか、やむだろうか。路肩の水が一部シャーベット状になっていた。気温が上がらずに道路が凍結し始めるかもしれない。小一時間で無量庵を離れることにした。昼前に帰宅する。雨は上がり、北の雲の切れ目に青磁色の空がのぞいていた。
夏井川渓谷あたりまでは、冬もノーマルタイヤでなんとか動ける。が、その先、川前の渓谷から山へと駆け上がった高地は厳しい。これからがいわきは極寒期。阿武隈の山行きは当分おあずけだ。
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