2012年1月13日金曜日
歌会始
歌会始の儀がきのう(1月12日)、皇居で行われた。茨城大学名誉教授で元福島高専校長の寺門龍一さん(81)が最年長で入選した、というニュースに接していたので、NHKの生中継を見た。
歌は「いわきより北へと向かふ日を待ちて常磐線は海岸を行く」=写真。お題「岸」を踏まえて、かつて利用した常磐線の全面復旧に被災地の復興を重ね合わせた祈りの歌である。
寺門さんは茨大を退官後、平成元(1989)年から9年までの8年間、福島高専の校長を務めた。なかなかしゃれた人で、茶をたしなんでいると聞いたことがある。いわき市の総合計画審議会長も務めた。
報道によれば、寺門さんは昭和60(1985)年から歌会始のためだけに歌づくりをしてきた。応募27回目で入選したというから、福島高専校長時代もせっせと挑戦していたわけだ。工学系ながら、文人的な趣味をもった校長さんだった。
一度、ある学生の親代わりになって校長官舎を訪ねたことがある。理由は伏せるが、そのときのやりとりが忘れられない。「学校は最後まで子どもを生かそうと考えるところです」。その学生は今や40歳間際、立派な起業家として活躍している。
寺門さんは茨城県東海村に住む。東海村でも総合計画審議会の委員長を務め、昨年2月に最新の答申をした。そんなことをインターネットで知った。福島高専校長時代、ふだんは官舎に住み、週末、電車で自宅との間を行き来した。常磐線は思い出深い“足”だった。
◇
歌会始が終わって45分後の午後0時20分ごろ、いきなり大きな縦揺れがきた。震源は福島県沖、いわきで震度4だった。石油ストーブにかかっている平鍋からお湯がはねて畳を濡らした。おとといだったら、「また11日だ!」となったことだろう。
今朝の福島民報によれば、寺門さんは両陛下から被災地の現状を尋ねられ、福島高専の卒業生が東電福島第一原発内で津波に遭って亡くなったことを伝えている。何期生だろう、気になる。
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