2009年9月17日木曜日

コウモリ乱舞


日没が早くなった。宵の6時になると、もう薄暗い。コウモリの出番だ。月一回、読売に連載されている菅野徹さんの「まちかど四季散歩」を愛読している。今月(9月13日)は土手の野草(ツルボ=スルボ、センニンソウ)とコウモリの話だった。

朝夕、夏井川の堤防を散歩する。初夏の夕方に比べたら、今の夕方6時前はもう薄暗い。鳥に代わってコウモリが堤防の上を飛び回る。コウモリにカメラを向けても、被写体が小さい、不規則な動きをする――で、カメラ自体がどこに焦点を合わせたらいいのか分からないらしい。シャッターが下りない。

コウモリはイエコウモリ。アブラコウモリとも呼ばれるが、油とのかかわりはない。江戸時代後期、日本へやって来た医師のシーボルトが「アブラムシ」の名札を付けてオランダ・ライデン博物館へ送ったら、館長がそれを学名にした。これによって「イエコウモリは不用意な学名を負い続ける」結果になったのだという。

このエッセーを読んでピンときたものがある。江戸時代の「かはほり」だ。「かはほり」はイエコウモリのことに違いない。たとえば、出羽(今の山形県)に生まれ、磐城平(いわき市)の浄土宗名越派総本山・專称寺で修行し、やがて江戸に出て俳諧宗匠となった一具庵一具(1781~1853年)の句。

蝙蝠や川へはり出す窓明り
蝙蝠のむさぼりありく夜はくらし
かはほりや柳にかかる月細し

私が現に目にしているイエコウモリのことだと思えば、細い月はともかく、川端の家の明かりやヤナギの木のある情景がよく分かる。イエコウモリの生態は江戸時代も今も変わらないのだ。

私のウデでは、薄暮の写真は無理。ならば仕方ない。イエコウモリが活動を始めるのと同じ時間帯に休みに就く鳥のハクセキレイにカメラを向ける=写真。わが散歩コースでは、国道6号とバイパスが合流するそばの交差点、ガソリンスタンド前の電線がねぐらだ。ここはスタンドが明るいのか、シャッターが切れる。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

一瞬!コウモリの大群が電線に止まっているのかと、あり得ない光景にゾッとしました。

鳥と知って一安心です。

我が家の軒先にも夕方、コウモリが宿り木にやってくるのですが、娘は黒い「オハギ」みたいだと言っています。