2012年3月14日水曜日
ハクチョウたちの3・11
人間の3・11に気持ちがいって、鳥たちの3・11を忘れていた。鳥だけではない。キノコの、ミミズの、ミジンコの、ケヤキの、三春ネギの3・11がある。イノシシも、キツネも3・11を経験した。
自然災害だけなら、打ちのめされた気持ちもやがては希望に変わる。が、原発が事故を起こして放射能をまき散らした。土も、水も、空気も3・11のあと、違うものになった。この不条理は、人類が初めて経験するものだろう。
ハクチョウ=写真=たちの3・11を思い出した。きのう(3月13日)、いわき駅前の「ラトブ」2階にある、被災者のための交流スペース「ぶらっと」へ行った。東京に本部のあるNGOのシャプラニールが運営している。その帰り、夏井川の堤防に出たら、カミサンが言った。「ハクチョウはいるかな」。去年は3・11を境に姿を消したのだっけ。
夏井川白鳥を守る会のHPをのぞいて、3・11にハクチョウが中平窪の夏井川から姿を消したのを知った。その下流、わが散歩コースの塩~中神谷に逗留していたハクチョウもその日の午後、同じように姿を消した。
地震に驚いて飛び去ったと思っていたが、そうではなかった。下流の塩~中神谷でえづけをしているMさんの話では、津波が夏井川をさかのぼってきた。それに驚いて飛び去ったのだった。
夏井川を津波がさかのぼってくる。その高さは? 堤防の天端近くまできたという人がいる。としたら、かなり内陸まで逆流したことになるだろう。中平窪のハクチョウたちの休み場下流にはがっしりした愛谷堰、つまり低いけれどもダムがある。そこまで到達したかどうか。
中平窪のハクチョウたちは、津波が来て姿を消したわけではあるまい。中神谷のハクチョウたちは地震に驚き、次に津波が襲って来たために飛び立った。いずれにしても北へ帰る時期を早める大災害だった。
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