2012年3月28日水曜日

内郷へ


スペインのグラナダから里帰り中の知人の実家(内郷御台境)を訪ねた。3・11後の昨年4月11日、いわき市田人町を震源とする直下型地震で井戸沢断層付近と、東隣の湯ノ岳断層が動いた。そのとき、地割れが起きた。母屋の基礎がおかしくなり、蔵にも亀裂が入った。いよいよ取り壊すという段になってカミさんに声がかかった。

以前、ハマ(豊間)の知人から連絡があり、解体を翌日に控えた津波被災家屋をいわき市暮らしの伝承郷の職員と一緒に見たことがある。カミサンが伝承郷の事業懇談会委員をしていることもあって、共同で民具救出作戦を展開した。その延長線上で救えるものはないかと、マチ(内郷)の蔵=写真=をのぞいたのだった。

母屋は柱とコンクリート土台にすき間ができたり、基礎が沈んだりしていた。蔵もあちこちで縦にひびが入っている。蔵は、昔、味噌を醸造していたという旧家らしい重厚なレンガ造りだ。中には使わなくなった家具や道具などがすき間なく置かれている。2階は、どうやらハクビシンがすみついていたらしい。カミサンの話では排泄物が山のようにあった。

主に衣類を救出した。マイカーの後部座席を倒して積むといっぱいになった。伝承郷よりは古着リサイクルを手がけているザ・ピープルに贈った方が生かされる――そういう衣類が多いようだった。

湯ノ岳断層の影響が遠野・常磐地区のみならず、平のすぐそばの内郷まで及んでいた、という話を前に知人から聞いて、実は驚いていた。裏山の方まで延びているという敷地の地割れ、沈み込みを目にして、あらためて4・11の直下型余震の破壊力を思った。

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