2012年3月5日月曜日
木々の悲鳴が聞こえる
カミサンのいとこの葬儀に出るため、平・中神谷から夏井川を越えて市街地にある葬儀場へ向かった。そのときのことだ。道路沿いの家並みが途切れてぽっかり“空き地”ができていた。車を運転しながら“チラ見”をしてうめいた。木がすべて根元から切られている。遊園地だ。
そこは17歳のころ、しょっちゅう訪ねて本を借りた恩師の住まい(教員住宅)があったところに近い。いや、その集合住宅そのものだったかもしれない。ざっと45年前の情景がよみがえる。集合住宅の南も、東も田んぼだった。今は一帯が宅地に変わった。
木が伐採された遊園地は、そこだけではないようだ。遊園地のほかにも、中神谷~国道6号バイパス~いわきニュータウンへと向かう道すがら、ニュータウンに近い道路で刈りこまれた街路樹を見た。
バイパスの終点、ドライバーからすれば始点でもあるが、そこに斜面を利用した「草野の森」がある。
平成12(2000)年3月、地元の小学生らが参加してタブノキ・スダジイ・アカガシ・シラカシなどの照葉樹のポット苗が植えられた。人為が加わらなければいわきの平地の森はこうなるだろう、という「ふるさとの森」づくりだ。宮脇昭横浜国立大名誉教授が指導した。
密植・混植の競い合いが苗木自身の生きる力をはぐくむのだという。若木は成長し、林内が鬱蒼とした雰囲気になってきた。落葉樹のヤマザクラなども自生するようになった。毎朝、散歩の途中にこの森を眺める。
土曜日(3月3日)、バイパスを利用していわきニュータウン内にある広野町の仮設住宅へ向かったとき、その森の木々が業者によって剪定されていた=写真。理由はあれか、放射能か。としたら、あそこでも、ここでも――木々の悲鳴が聞こえる。
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