もう1カ月も前のことだ。晩酌をしながらテレビを見ていると、カミサンがBSテレ東の「日本歌手協会歌謡祭プレミアム」に切り替えた。普通は1時間番組だが、プレミアムは2時間だ。
このごろは夜、カミサンに従ってBSテレ東の懐メロ番組を見る。いつものようにぼんやり聞いていたら、次から次に花の名前が出てきた。
「花はおそかった」のクロッカスに、「アカシアの雨がやむとき」、そして「エリカの花散るとき」……。子どものころから聞いてきた歌のパレードに、目と耳が反応した。
番組の案内人は歌手兼作家の合田道人さん。64歳。ネットで探ると、今年(2026年)7月に『流行歌に唄われた花物語』(笠間書院)を出した=写真。
図書館にこの新刊があって、「貸出中」だった。後日、またホームページをチェックする。と、「貸出可」に替わっていた。すぐ借りて読んだ。
曲と歌手の紹介に合わせて、共著者の専門家(土橋豊さん)が花の解説をしている。それでわかったのだが、本と響きあうような番組構成だった。
本から何曲か(の花)を紹介する。まずは「夜来香(イェライシャン)」。この流行歌は昭和19(1944)年、当時の中華民国で発売された。
歌ったのは満洲映画協会の看板スター李香蘭、というより日本人の山口淑子(よしこ)だ。戦後、李香蘭は本名で日本の銀幕に登場し、中国ではやった「夜来香」を日本で発売して大ヒットした。
花の夜来香はキョウチクトウ科のつる植物イェライシャンと考えられているそうだ。学名からして、花の芳香が遠くまで届く――に由来しているとか。この花はむろん、見たことがない。
身近な例でいえば、「さくらさくら」がある。現代のサクラ=ソメイヨシノは森山直太朗、ケツメイシが歌い、小柳ルミ子、岩崎宏美、松田聖子も歌っている。朝ドラの「ブラッサム」にも、冒頭、満開のソメイヨシノが登場する。
テレビで紹介された歌の花は、ほかにサザンカ(「さざんかの宿」)、コブシ(「北国の春」)、ワスレナグサ(「忘れな草」)、ソテツ(「長崎の女」)など、枚挙にいとまがない。
西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」は、1960年の安保闘争(小学6年生だった)のときにはやった。それからの連想。
息子たちが小学生になると、よく夏井川べりでバードウォッチングをした。岸辺にこのアカシア(実はニセアカシア)が生えていた。
渓谷の隠居へ通うようになってからは、ハクチョウ飛来地の左岸、国道399号沿いに何本か立つニセアカシアの花をながめるのが楽しみだった。
その大木が10月4日に通ると、すべて伐採されていた。見晴らしはよくなったが、岸辺林としての風情はなくなった。上流の竹林もあらかた姿を消した。
同日、猪苗代湖にハクチョウの第一陣が到着した。例年、1週間余りあとには小川(三島)の夏井川にも飛来する。ハクチョウたちは周りの風景が変わっているのにびっくりするのではないだろうか。
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