11月の始まり、1日は日曜日だった。午前9時から地元で公民館まつりが開かれた。
公民館を利用しているサークルの会員を主に8人の区長も加わって、前日の午後遅く、テント出しなどの準備作業が行われた。
当日は朝8時に集合し、テントを立てた。芸能サークルのステージは公民館の玄関前である。そこにグリーンのマットを敷き、園庭に観客用のイスを並べた。
つまり、野天で地元の人間が地元の人間の踊りや太鼓の演奏を楽しむ。公民館の祭りならではの距離感ではある。
私は、小川町の草野心平記念文学館で開かれる吉野せい賞表彰式に出るため、途中で退席した。まつりの後片づけは勘弁してもらった。
日曜日はいつもであれば、夏井川渓谷の隠居へ行って土いじりをする。それがこの日は用事が重なった。
それから2日後。火曜日は祝日・文化の日である。紅葉が始まったばかりの渓谷の様子を見に行くか――。
生ごみのバケツを車に積んで、9日ぶりに隠居へ出かけた。昼前には戻って来ることにして、カミサンも同行した。
毎週、隠居の畑の隅に生ごみを埋める。埋めたら地面に網形の鉄板を敷き、その上に重い石を置く。
その鉄板をずらすような力のある動物はイノシシしかいない。タヌキやハクビシンでは無理である。
鉄の網はそのままだったが、前に埋めたところが掘り起こされていた。穴ができて、生ごみのかけらが地面に散らばっていた。ときどきそうなる。
今回はしかし、それだけではない。ネギのうねとミョウガの群落の間に点々と小さな穴ぼこができていた=写真。
イノシシであれば地面をラッセルしてミミズを探す。大きく広い溝になる。それに比べたらささやかなものだ。
畑は上の庭の西側にある。下の庭とはなだらかな斜面(元は畑のあぜ道)でつながっている。
上と下の庭の草むらを見ているうちに、「けもの道」のようなものが脳内に浮かんできた。
紙にざっと庭の平面図を書き、草むらにできたすき間や十数カ所の穴を落とし込むと、なにやら動物が歩き回った道順のようなものが見えてきた。
動物は下の庭の隅から上の庭に現れると、まっすぐ畑に入ったようだ。それから庭と畑の境に置かれた伐採木(桐)に沿って進み、そこでまず穴を掘ったらしい。
そのあと、さらに畑の中をうろつき、ネギのうねのそばからミョウガの群落の間の地面を何カ所も掘った。
さらに穴ぼこはないかと物置のそばまで行くと、動物の糞(ふん)がまとまってあった。これで「犯人」が推測できた。
イノシシ以外で庭に現れる動物といえば、タヌキかハクビシン、あるいはイタチである。タヌキの「ため糞」に違いない。
タヌキは雑食性で、ドングリやクリはもちろん、果物、ジャガイモ、動物ではミミズやカエル、ネズミも食べる。地中のミミズを狙ったか。
隠居へ行くたびになにか変化があり、発見がある。日曜日の隠居通いは、これがあるのでやめられない。
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