2008年8月19日火曜日

あす、灯篭流し


いつのもように夏井川左岸の堤防を利用して平の街へ行く。「平神(へいしん)橋」を渡る手前、東日本国際大学の近くを通ると、川にバックホーが入って砂を掻きとっていた=写真。土手の草も刈り払われていた。8月20日夜の灯篭流しの準備に入ったのだ。

夏井川の流灯花火大会は行く夏を惜しむ平の風物詩。宵闇が徐々に濃くなる中、5000個もの灯篭が次々と放たれ、ゆらゆら明かりをともしながら流れ下る。ちょっとした幻想的な光景を味わえる伝統行事だ。大正初期に始まったという。

昔は新盆の仏前に供えられていた果物なども舟に載せて流したらしく、夏井川下流で育った友人は「ミナト(河口のこと)に流れ着いた果物をよく拾った」という。今は環境問題もあるので、川に物を流すことはない。灯篭も途中で回収されるのではなかったか。

それよりなにより水量のないのが心配だ。雨が少ないのと水稲の出穂期で田んぼに水を取られているせいか、夏井川はあちこちで川底をさらしている。灯篭がスムーズに流れるだろうか。バックホーはそのへんも考慮して砂をさらったと思われるが、途中で灯篭が流れなくなるとせっかくの「精霊送り」も台無しだ。

灯篭流しが行われる平鎌田町には延命地蔵尊と俗称「首切り地蔵」がある。首切り地蔵は江戸時代、そこに処刑場があったことに由来する。

川はこの世とあの世を隔てながらも、絶えず流れ続けて過去・現在・未来をつなぐ。お盆に帰って来た霊を「また来年ね」と送り出しつつ、彼岸への明かりを見つめてわが身を顧みるには、鎌田は格好の場所なのかもしれない。

花火は、わが家の2階から眺めるとするか。夜空にパッと花開いて「ドドン」と音が届くのは何秒かあとだが、光と音の時間差もなにか力が抜けていいものである。

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