2011年7月15日金曜日

豊間の「舌状浅瀬」


おととい(7月13日)のNHK「ニュースウオッチ9」を見た。いわき市平豊間地区の津波の特徴について、ボランティアで津波被害調査を手がけた静岡大客員教授大和田清隆さんの見解をもとに、いわき駐在の記者がレポートした=写真

一言でいえば、豊間のハマの特殊な海底地形が津波被害を大きくした。東北大災害制御研究センターの解析によって、「舌状に張り出した浅瀬で津波が集まり、大きくなった」ことが裏付けられた。

大和田さんはいわき市常磐湯本町の出身。市民参加のまちづくりを支援する都市計画プランナーで、ふるさと・いわき市のまちづくり計画にも協力している。

「東日本大震災」では、勿来地区のまちづくり団体「勿来ひと・まち未来会議」のコーディネーター役だったこともあって、勿来地区災害ボランティアセンターの立ち上げ準備段階から支援・協力を続けた。大和田さんとは旧知の間柄だ。その時点で、私ら夫婦が関係しているシャプラニールとも協力関係が生まれた。

大和田さんは防災のまちづくりにも携わっている。勿来災害ボラセンの運営に協力する一方、本人のネットワークを駆使して建築士に呼びかけ、いわき沿岸部の津波被害調査を続けた。

勿来災害ボラセンが始動した4月9日以降、浜松市の建築士などが続々といわき入りし、現地を調べてデータを大和田さんに届ける、といった場面に何度か遭遇した。その蓄積と分析、比較検討から、大和田さんは豊間海岸が特に大きな被害に遭っていることに気づく。

大和田さんは、早稲田大、千葉大大学院で地学を専攻した。都市計画コンサルタントの仕事を続ける一方、東大大学院で都市計画の博士号を取得した。地学的思考が「舌状浅瀬」の存在を導き出したに違いない。津波防災対策に新しい課題・視点が加わったというべきだろう。

「ニュースウオッチ9」での放送は、大和田さんからのメールで直前に知った。大和田さんは現在、いわきの北端・久之浜地区で住民による復興計画の支援を続けている。シャプラニール会員の歯学博士森田康彦さん(徳島大)が久之浜地区の放射線量調査を手がけたのも、勿来以来のつながりからだろう。人脈は金脈より深く、強く、尊い。

0 件のコメント: