2011年7月8日金曜日

濡羽色


カラスについて聞いたばかりの話を二つ。

「カラスって頭がいいんだね」。カミサンが感心したように言う。神棚に供えたごはんや残飯を庭におくと、鳥が来てついばむ。そばには水盤がある。ある日、冷凍したご飯をおいたら、カラスがそれをくわえて水盤に入れた。水で早く解凍しようというわけだ。言われて、カーテンの陰からカラスを見る。少しずつご飯をつついていた。なるほど、頭がいい。

その日の夜、酒の席で――。夕方、ねぐら入りする前のカラスが群集する。そこは住宅団地にあるビルの上。ところが、「3.11」以来、カラスが集まって“会議”をするのをやめた。つまり、姿を消したのだという。

なぜ? あれこれ推測してみる。ねぐらはおそらく、湯の岳(いわき市常磐)。カラスは日中、街や浜に出かけてえさをあさる。浜は津波でガレキと化した。カラスにはいいえさ場になった? いや、ねぐらの山が地震でおかしくなった? 湯の岳断層が動いた。それで、危険を察知してねぐらを変えた?

鳥に関してはっきりしていることは、あの日、ハクチョウが一斉に夏井川から姿を消したことだ。留鳥のカラスが同じように、いわきから姿を消すなんてことはあり得ない。ねぐらを変えたか、ねぐら入りの前に一休みする場を変えたか。ねぐらを変えたのだろう。

そのカラスだが、5月中旬、磐越東線のJR川前駅へと架かる橋の上から、水面をかすめるように飛ぶところをパチリとやった=写真

橋の上流、夏井川の右岸にカツラの巨樹がある。橋の上から新緑を写真に収めようとしたら、パッと飛び立つカラスが目に入った。デジカメのモニター画面で拡大すると、黒い羽が一部、青みがかっていた。いわゆる「濡羽色」である。きれいなものだった。

(けさ=7月8日=3時35分、ゴンゴンゴンと突き上げるような地震。目を覚ます。体感で震度4。テレビで確認したら、やはりそうだった。震源は福島県沖だが、直下に近い感じ。そのまま起きて、このブログを書いた)

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