平窪(平)のやさい館へ行くと、決まってまとめ買いをするお菓子がある=写真。商品名は「ぽりこん」。原材料はアメリカのとうもろこしだ。
小学生のころ、阿武隈の山里にやって来ては、道端に長ひょろい機械を据えて「ばくだん」をつくる人がいた。
道路(現国道288号)は時折車が通るだけで、まだ子どもの遊び場だった。「鬼ごっこ」をやり、「馬乗り」をやり、「だるまさん転んだ」をやった。そんな時代だから、「ばくだん」も道路でつくることができたのだろう。
「ばくだん」製造業者は町内の人だったのか、よそから来た行商人だったのか。今はもうはっきりしない。
「ポン」と大きな音を出すと、とうもろこしがはじけて、親指くらいの大きさの白い食べ物ができた。それが「ばくだん」。
白くて粒の小さい「ばくだん」もあった。原料は米。「ばくだん」製造業者が原材料、つまりとうもろこしや米まで持って来た記憶はないから、それぞれの家で材料を用意したのだろう。
テレビが普及し、アメリカの食文化に触れるようになって初めて、「ばくだん」が「ポップコーン」であることを知った。
その懐かしさから「ぽりこん」を食べるようになったわけではない。カミサンが仲間とのお茶菓子用に買ったのを、ためしに晩酌のつまみにしたら、うまかった。
理由は簡単だ。口どけがいい。歯が弱くなった年寄りも、難なく食べられる。とにかく食べやすい。これが第一。それに、ほのかな甘みと塩味があって、飽きがこない。
ただし、これだけだと単調なので、コンビニから焼酎とともに買って来た「ペッパーベーコン」を混ぜてみた。すると、味と歯ごたえに変化が生まれた。
この食べ物は、ブラックペッパーを効かせてカリカリに揚げたベーコンのようなもので、1センチ大にカットされている。
味と歯ごたえの変化が気に入って、今は「ぽりこん」に「ペッパーベーコン」をミックスしたものを酒のつまみにしている。
「ばくだん」を食べていたのは、まだ永久歯が生えそろわないころだった。硬いものは、子どもにはちょっと無理だった。
永久歯が抜けたり、弱くなったりしてきた今は、理由は逆だが、小さい子と食べ物は共通するのかもしれない。
「カリッ、フワ」。「ペッパーベーコン」をかみ砕くときには、口を緩やかに動かすことを意識している。でないと、はずみで歯が欠けそうな気がするのだ。それだけを注意して、もぐもぐやる。
刺し身が肴(さかな)の日曜日以外は、この「ミックス菓子」を焼酎のつまみとして常備している。
「ばくだん」といった方が団塊の世代には通じるのだろうが……。物騒な呼び名なので。今はささやくようにしか使えない。
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