2025年11月15日土曜日

ジュナイダの賢治童話

                                
 先日、SNSのフェイスブックでロシアの画家ビリービンを知った。ベニテングタケその他のキノコが描かれた作品がある。そのことを11月12日付のブログで紹介した。

 それと同じ流れでフェイスブックに、柄の付け根に目のあるキノコのイラストがアップされていた。

作者は画家のジュナイダ(junaida)。本名「アイダ ジュン」で、英語式にローマ字で名前と名字をつなぐとジュナイダになる。1978年、大阪生まれというから、今年(2025年)47歳だ。

 総合図書館に彼の画集が2冊あった。『EDNE(エドネ)』と『IMAGINARIUM(イマジナリウム)』=写真=で「EDNE」は後ろから読むと「エンデ」。ミヒャエル・エンデにささげられた絵本だ。

もう1冊の画集に、フェイスブックで見た作品とは異なるが、キノコの絵があった。「HOME(ホーム)」の章に、植物に囲まれた家が描かれる。その植物にまぎれるように「アオテングタケ」があった。

アオテングタケはベニテングタケの青色版だろう。便宜的に私がそう呼んでいるだけで、実際にアオテングタケというキノコがあるわけではない。

薄磯海岸のカフェ「サーフィン」の入り口花壇に、ベニテングタケはもちろん、それの青色バージョン、アオテングタケの置物がある。先日それに気づいて、既成概念にとらわれないママさんの感性に感心したばかりだった。

 アオテングだけではない。宮沢賢治の童話を表現した「IHATOVO(イーハトーボ)1・2・3」には、猫が、周りにいっぱいのキノコとともに、白く大きなキノコの馬車に乗った絵が収められている。「どんぐりと山猫」の一場面である。

 巻末の作品一覧によると、賢治童話作品の絵は17点。そのなかで強く印象に残ったのは、見開き2ページいっぱいに描かれた白い山の頂上近く、夜空に風の又三郎がフワッと浮いている作品だ。又三郎の孤独を思って少し胸がざわついた。

 「どんぐりと山猫」では、やはり見開き2ページの上部5分の3を、擬人化したどんぐりで埋め尽くした作品がある。

 どんぐりが何人(何個)いるか数え始めたが、すぐわからなくなる。で、右から5センチ内に何人いるか、定規を当てて数えると、ざっと100人はいた。

 見開き全長35センチだからその7倍、およそ700人はいる勘定になる。なかにはひねくれたどんぐりもいるに違いない。あるいは別の木の実なんかも……。

作者がそのくらいの仕掛け(いたずら)をしていても不思議ではない。というわけで丹念にどんぐり人間を見ていったら、1人いた。くしゃみをして鼻からちょうちんをふくらませている。

あるいはそうではなくて、立ったまま眠っていびきと一緒に鼻からちょうちんを膨らませているのかもしれない――などと、作者の仕掛けに乗って遊ぶのも悪くはない。見ていて楽しい画集ではある。

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