2009年1月9日金曜日

冬の「川前のカツラ」


いわき市のJR磐越東線川前駅から見ると、広場の先、夏井川に架かる橋の上流左側にその巨樹がある。橋の向こう側、県道小野四倉線からは対岸の水辺にその巨樹が見える。「川前のカツラ」だ。

去年の4月末近く、新緑が見事だというので見に行った。圧倒された。実測データがないらしいから、なんともいえないが、とにかく大きい。一発でいわき市の天然記念物になるくらいのシロモノだ。いや、「国指定」級といってもいいかもしれない。

川前は夏井川渓谷の上流。カツラのある付近は「V字谷」が緩んで少し開けた「U字谷」になっている。その岸辺に根を生やして何百年になるだろう。同じ川前の丘陵地に国指定天然記念物の「沢尻の大ヒノキ(サワラ)」がある。推定樹齢800年の、日本一のサワラだという。それに匹敵するくらいの存在感だ。

先日、田村郡小野町へ行った帰りに「川前のカツラ」を見た=写真。冬は落葉して裸になっている。株立ちの本数は分からない。が、とにかく幹が密集して空に伸びている。枝も川面へ、天へ、横へと、四方八方に広がっている。それでバランスを取っている。不思議と安定しているのだ。

裸のカツラはごつごつとして厳しい。落葉樹は、冬はどんな木もよろいだけになる。厳しいのは当然だ。そして、やさしい。巨樹の放つ生命力とでもいうのか、見るだけで雑念が消える。元気になる。

カツラの紅葉もいいらしいが、去年の秋は見逃した。今年は四季を通じて「川前のカツラ」を見るとしようか。夏井川渓谷の無量庵からは車で十数分の距離。それに、月々のガス代を払いにカツラのある川前の集落までよく出かけているのだから。

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