2009年7月3日金曜日

塩さんのキュウリ


いわき市平北白土の篤農家塩脩一さんは、キュウリやトマト、ネギを栽培している。それが本業。市民の目を楽しませるハナショウブは、いわば水稲の減反政策の産物だ。見ごろは終わった。

6月中旬にハナショウブのことを書いたら、塩家とつながる匿名さんからコメントをいただいた。ハナショウブとネギにまつわるエピソードが面白かった。

きょう(7月3日)は、その連想で塩さんのキュウリの話をしたい。ハナショウブを見に行った日、直売もするというので、キュウリとトマトを買った。トマトは甘い。キュウリも糠漬けにしたら、すぐ漬かった。

塩さんがこだわるキュウリ観がある。ブルームであること。そのために毎年、百何十本という苗をメーカーに特注する。

ブルームとは実から自然に出てくる、白い粉のようなロウのことをいうらしい。これを消費者は農薬と誤解して敬遠する。で、今やキュウリのほとんどがブルームレスになった。塩さんはその風潮にめげず、ブルームキュウリを作り続ける。そちらの方がおいしいからだ。

ネギも同じ。今は見た目がテカテカして太く、白く、まっすぐなネギを消費者が求める。味は? 甘みが少なく、硬め。塩さんはそうしたネギを市場が求めるようになって、ネギの出荷をやめた。自家採種で昔からのネギを栽培している。

トマトとネギに共通しているのは何か。甘く、軟らかく、香りがあること。塩さんはおそらくこの三つを野菜栽培の基本にしている。皮の薄いブルームキュウリにこだわるのも、そのためだろう。「外見より中身」は、見た目で決める消費者には通用しない。しかし、それが本質なのだ――と、私はつい声高になる。

ハナショウブを見に行った6月中旬からこれまで、二度ほど塩さんのキュウリやトマトをまとめ買いした=写真。半分は子どもや知り合いに配るためだ。が、なによりかによりキュウリの軟らかさに引かれる。ブルームキュウリはそこが特徴なのだろう。

私が夏井川渓谷の無量庵で栽培しているキュウリは、皮が鎧のように厚い。パリパリとした食感を楽しむ古漬け用だ。糠漬けには塩さんのキュウリが向いている。

キュウリにもいろいろ種類がある。ネギもそう。その特徴に合わせてつくる、いや食べ分ける。塩さんを通して学んだことの一つだ。

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