日曜日には夏井川渓谷の隠居へ行く。途中、平地(小川町三島)の夏井川で残留コハクチョウの「エリー」=写真(7月26日撮影)=に、胸の中であいさつをする。「おっ、いたな。がんばれよ」
9月6日は地区の市民体育祭があって隠居行きを断念した。13日は水量が多かったものの、大水というほどではなかった。
エリーは? 県道小野四倉線(兼国道399号)沿いの岸辺にも、竹林が伐採された上流にも姿がない。
8月30日はどうだったか。隠居までの様子、隠居での作業などをメモした「週記」を見ると、エリーについての記述はなかった。いたかどうか、どうも記憶がはっきりしない。
そこへ9月14日、「白鳥おばさん」からハガキが届いた。白鳥おばさんは毎日、県道からガードレール越しに、直下の浅瀬に寄ってきたエリーにえさをやる。ハガキには「残念なお知らせです」とあった。エリーの姿が見えなくなったという。
8月29日の夕方、えさをやりに行ったときには、羽をバタバタやったりして元気だった。
が、翌30日の夕方には姿がなかった。おなかがすいていないのかなと思って、その日はそのまま帰った。
前にも2~3日してヒョッコリ出てきたときがある。しかし、もう10日も姿を見せないという。ハガキの消印は「8.9.10」。9月10日から4日たっていた。
今では5年前になる。1羽のコハクチョウがやはり羽をけがして残留した。白鳥おばさんは「エレン」と名付けて毎日えさをやった。これが始まりだった。
エレンは翌年も残留した。ある日、大水になって下流の梨選果場あたりまで流される。真夏にはしかし、姿が見えなくなったと、白鳥おばさんから連絡が入った。
エレンはどうやらけがが癒えて飛ぶことができるようになったらしい。そのへんの顛末を拙ブログで振り返る。2023年秋のことである。
――ハクチョウがわが生活圏に現れた。それを告げるブログに「エレンは、今はどこにいるのだろう」と書いた。
そのブログがいわき民報に転載された。すると、年末に白鳥おばさんから電話がかかってきた。「エレンが戻ってきた。ずっと見てきたので間違いない」
それから正月になり、1月も終わりに近い28日、県道で久しぶりに白鳥おばさんと会った。エレンがどこにいるか教えてもらう。
コハクチョウのくちばしは根元が黄色くて先の方が黒い。黒い部分に比べたら、黄色い部分は半分以下だ。
上のくちばしが付け根まで黒いタイプもいる。エレンがそうだ。しかも、その付け根の黒い部分に黄色い斑点がある。
あとでエレンが単独でいたときの写真を見ると、同じところに黄斑があった。この黄斑が、私のなかではエレンである決め手になった。なんという奇跡だろう――。
今年(2026年)も間もなく北から仲間がやって来る。エレンがそうだったように、エリーも飛べるようになって仲間と合流できたらいいのだが……。姿が見えなくなった今、再びの奇跡を待つしかない。
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