夏井川渓谷の隠居の庭で地ネギの「三春ネギ」を栽培している。三春ネギは初夏に種を取って秋にまき、翌春に苗を定植して秋・冬に収穫する。2年サイクルである。
何年か前、天候不順で不作になり、種を切らした。そのことをブログに書くと、田村市の実家の兄から電話がかかってきた。春になってネギ苗が店頭に並ぶころ、確保しておく――。
春、実家へ行って苗をもらい、その足で隠居の庭に定植した。翌年、何本か残したものからネギ坊主を収穫し、乾燥させて種を採った。
その後は普通に定植・収穫・採種・播種のサイクルを重ねていたが、去年(2025年)は手を抜いたために苗の生育が思わしくなかった。
結局、苗が未熟なままで終わり、食べることもなかった。種も採れなかった。このため、冷蔵庫に保管していた前年の残り種を秋にまいた。ネギの種は冷蔵庫で保管すれば2年は持つ。
失敗の理由ははっきりしている。苗床に雑草が生えても、ほったらかしにしておいた。追肥もおろそかにした。
その反省から追肥、もみ殻敷き、草引きをちゃんとやったら、苗が大きく元気に育った。
鉛筆より太くなった苗を100本ほど定植した。苗床にも同じくらいの数が残った。定植苗よりは育ちがイマイチだが、その後も追肥と草引きをしたら、それなりに育った。
畝の方は秋・冬用、苗床の方は「夏ネギ」にして食べよう――そう決めて、ときどき苗床の間引きをしている。
ネギは寒さが増すにつれて糖分を蓄えるから、加熱すると甘くなる。加えて、三春ネギはやわらかい。
まだ気温が高めに推移しているので甘みはない。が、ほのかな香りとやわらかさがある。
ジャガイモと三春ネギの味噌汁は、昔からのふるさとの味で、私には一番のごちそうだ。
田村地方では月遅れ盆のころ、一度掘り起こして畝を斜めに切って植え直す。雨が降るとすぐ地下水位が高くなる。浅く斜めに植えて根腐れを防ぐ。この作業を「やとい」という。
それだけではない。地上部は葉が天に向かって真っすぐ伸びるので、「曲がりネギ」になる。ネギにとってはストレスだが、これがさらに甘みを増す。
若いころは隠居の庭でもこの「やとい」をやった。しかし、地元のおばさんの話では、まっすぐのネギにするだけ、という。体力が落ちたことを理由に、今では浅く植えて高く土を寄せるやり方に替えた。
この土寄せを怠ると、少し強い風が吹いただけで根元から倒れるものが出てくる。8月、9月と、草引きと追肥を兼ねて土を寄せると、あらかたは元に戻った。
苗床も事情は同じ。こちらは密集しているので、この秋の種まき前には間引きを終わらせる。
9月13日には苗床の三春ネギを20本近く収穫した=写真。スーパーなどで売っているネギと遜色はない。しばらくは買わなくて済む。
翌日夕方、近くに住む「孫」夫婦が顔を出したので、カミサンが何本かお福分けをした。余分にあれば、こういうこともできる。
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