雨が降れば車の轍(わだち)に水がたまる。晴れれば少しずつ地面が乾き、轍の水たまりも減っていく。乾いた庭に戻るにはしかし時間がかかる。
なにしろこの長雨である。乾く暇がない。ちょっと降っただけで庭全体が水に浸かったようになり、黄色くなりかけて落ちた柿の実が半分沈んでいる=写真。
大雨で冠水するのは歩道だけではない。家の庭も冠水するのだ。その証拠写真を撮っておこう――。
そんな思いで庭の水たまりを撮影した雨の日(9月16日)の朝、朝ドラの延長で見ていた「あさイチ」で、「雨庭(レインボーガーデン)」という言葉を知った。
雨庭? 雨でできた庭の水たまりのことか。最初はそう思ったが、もちろん違う。身近な治水対策のことだった。
雨水は下水道や河川に「すぐ流す」が基本だが、それでは都市型水害や内水はんらんを防ぎきれない。
そこで、地域全体で「いったん受け止める」対策も施されるようになった。その具体策が雨庭である。
家庭の庭や公園、学校、道路わきの花壇などに雨庭を導入し、一気に下水道や河川に流れ込むのを分散する。京都市では2017年度から雨庭の整備が進められているという。
家庭でできる雨庭づくりが紹介されていた。約1坪でも効果がある。土を掘り起こして、ホームセンターなどで売っている砕石や砂利を敷き、土をかぶせて植物を植える。
雨が降ればこの小さなくぼ地に水がたまり、やがて地中に浸透していく。こうした雨庭を地域のあちこちに設ければ、地域に降った雨は地域で「いったん受け止める」ことができる。
コンクリートに覆われた庭は、雑草が生えるのを防ぎ、雨水をすぐ側溝に流すが、「いったん受け止める」機能はない。
雨庭を、わざわざ「レインボーガーデン」と片仮名入りで紹介しているからには理由があるのだろう。
この考えは先進国にならったものではないか。AIに尋ねると、アメリカやイギリス、ドイツ、オランダ、シンガポールなどの例を教えてくれた。
そのうち、イギリスでは自然の仕組みを生かした都市排水と緑化が進められている。ドイツは古くから雨水管理やエコロジカルな都市計画に力を入れている。
オランダは、海抜が低い土地柄から洪水を防ぐスポンジのような都市づくりが活発に行われている。
雨庭の比喩としてはこのスポンジが一番しっくりくるかもしれない。スポンジとは食器を洗う時などに使う、多孔質のやわらかい材料のことである。
地域全体が多孔質のスポンジ(雨庭)になれば、それこそかなりの雨水をいったん受け止めることができる。
雨庭づくりまではいかなくとも、庭には花壇を設け、木を植える。わが家ではそのレベルだが、これまで建物の床に浸水したことはない。これからはむろんわからない。
20日の少雨に続いて、21日は台風の影響で大雨が懸念される。どこまで庭が冠水するか、意識して様子を見ることにする。
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