2008年12月5日金曜日

ジュリーの還暦・新作アルバム


還暦を迎えた「ジュリー」こと沢田研二の新作アルバム「ロックン・ロール・マーチ」を買った日、わが家に20代の女性が営業に来てカミサンと話をしていた。こちらはすぐにも歌を聴きたいから、CDの封を切ってラジカセにセットしながら女性に聞いた。「沢田研二、知ってる?」「えっ、知りませんが」。こりゃダメだ。60歳と20代では話がかみ合わない。

20代の女性が聴く音楽って、なに? というより、20代の心をつかむ同世代の、同時代の音楽は、私には分からない。が、当然あるだろう。私が10、20代のときは、数あるグループサウンズのなかでも「タイガース」、そのなかでもジュリーだった。

同年齢だから、だけではない。声と顔にほれたのだ。「かっこいい」というやつだ。やがてソロになって、デビッド・ボウイよろしくあやかしの世界にたゆたっても、なにか心引かれるものがあった。ジュリーはジュリーのまま。そして、ファンであるこちらもあまり進化せずに年を重ねた。

秋口、全国紙の「ひと」欄に彼が登場した。新作アルバムのなかに、憲法9条賛歌がある。「わが窮状」。「60歳になったら、言いたいことをコソッと言うのもいいかな」という言葉に打たれた。それでCDを買い、車の中で聴いている。

新作アルバム中の「ロンググッドバイ」は、メンバーから離れた1人の友をうたった「極私的作品」だ。岸部一徳とジュリーが作詞し、森本太郎が作曲した。曲の雰囲気が故河島英五のいくつかの歌と共通している。涙ぐみながら歌っているようにも感じられた。

そうこうしているうちに、きのう(12月4日)朝のテレビで、ジュリーが12月3日、東京ドームで還暦記念コンサート「人間60年・ジュリー祭り」を敢行したことを知った。コンビニへスポーツ紙を買いに行って、コンサートの様子を確かめた=写真、CDは新作アルバム

なんというエネルギーだろう。昼と夜と、少しの休憩をはさんで6時間半にわたって計80曲を歌ったという(ま、私もそのくらいの時間は街で飲み続けることがあるが)。記事に「40歳の時は60歳をジジイと思ってました。でも、そうではないんですね」というくだりがある。私も11月に還暦を迎えて、同じ感慨を抱いた。3割引きというのは言いすぎだから2割引き、48歳くらいの気持ちのままだろうか、と。

同じ還暦コンサートの記事にこうあった。「ジュリーが泣いた。26曲目の『いくつかの場面』。(中略)歌詞と同様に抱きしめるポーズをすると涙があふれた。故河島英五さんの作詞、作曲で75年発売の曲」。自分の人生を振り返るとき、河島英五の歌があるのだ。

きのう、たまたま社会保険事務所へ行って年金を受け取る手続きをした。なにか新しい道に踏み込んだ気がした。「さあ、おれもコソッとなにかやるか」。ジュリーの「わが窮状」と還暦コンサートに後押しされて、カラ元気がわいてきた。

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