2008年12月20日土曜日

なぜ「湯たんぽ爆発」?


新聞・テレビを見ての印象だが、若い世代の暮らし向きが変わりつつあるようだ。例えば、漬物。スーパーやコンビニで小さなパックをささっと買っていたのが、自分でつくる人が増えた。はじめは一夜漬け程度でも、経験を積むと糠漬けを、白菜漬けを、たくわん漬けを、となる。

経済が停滞し、自由に使えるカネが減った。消費一辺倒では暮らしが立ちゆかない。「経済」に「エコ」や「安全」が加味されて、できることは自分の手で――という生活防衛意識が作用するようになったのだろう。

生活技術の復活と言いたいところだが、昭和30年代の高度経済成長以来、核家族が3代も代わって昔ながらの生活技術は途絶えた。若い世代には新たな生活技術の構築だ。土鍋や湯たんぽが売れているのも、理由は同じ。生活防衛とエコ。

ところが、おととい(12月18日)のテレビには驚いた。湯たんぽに水を注いでじかに熱するものが出回っている=写真。口ぶたをしたままやって爆発した。そんな事故が少なくないらしい。やかんにはふたに小さな穴があいている。蒸気の逃げ口だ。湯たんぽの口ぶたを閉じたら、その逃げ場がない。蒸気機関車ではないから最後は爆発する。

生活技術が途切れることなく伝承されていれば、まずはお湯をわかして湯たんぽに入れる。ホウレンソウを切ってはゆでない。ゆでてから切る。そうした知恵は経験に裏打ちされて初めて身につくものだ。

世界同時不況が未曾有(「みぞう」と読む)の速さで進行している。アメリカ追随の小泉改革以来、日本はすっかり冷たい社会になった。せめて家庭では家族が向きあい、手づくりの食べ物を口にしたい。そのための生活技術である。家庭の復活、いや創造である。公民館もそのへんを意識して市民教室を企画してはいかが。

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