2008年12月24日水曜日

日陰はアイスバーンだった


「天皇誕生日」のきのう(12月23日)早朝、夏井川(いわき市平中神谷)の堤防へ立つと、阿武隈の山々がすっぽり雪をかぶっていた。平地では雨、山では雪になったのだ。午後には、山の雪はあらかた消えた。雪が間近に見えるところは――。

夏井川渓谷(いわき市小川町上小川字牛小川)から支流の中川に沿って、「広域基幹林道上高部線」が伸びている。終点の荻(川前町)近くで阿武隈高地最高峰の大滝根山が見える。<雪をいただいた大滝根山の写真を撮りたい>。夏井川渓谷の無量庵へ灯油を運んだついでに車を走らせた。

海岸部から小川町の片石田あたりまでは平野が続く。片石田の先、高崎からは阿武隈高地に分け入り、「地獄坂」でいちだんと標高が高くなる。夏井川渓谷はV字谷となって続くが、牛小川あたりでも標高は200メートルほど。道路に雪はなかった。

神楽山(802メートル)が水源の中川は急流となって夏井川へと駆け下る。「スーパー林道」(上高部線)も同じで、始点の牛小川から坂と急カーブが14キロほど続く。標高が一気に高くなる。

林道を上りはじめて数分は鼻歌まじりのドライブ。ところどころ日陰の道端には雪が残っていた。落葉樹は枝が雪をかぶって白と黒の二重の墨彩画になり、モミも綿ではなく本当の雪を飾って「ホワイトクリスマス」を演出している――などと眺めながら進んだら、様子がおかしくなってきた。

日陰の路面に残っている雪の面積が少しずつ大きくなる。そのうえ車のタイヤに踏み固められて雪がザラメ状になっている=写真。中川の上流、川前町・外門(ともん=土地の人は「田代」と昔の地名で呼ぶ)までは、まだまだだ。

怖い。<大滝根山の冠雪の写真はあとでもいいか>。日陰になってアイスバーンに入ること3回、先へ行くのをあきらめた。タイヤを替えたばかりとはいえ、ノーマルに変わりはないのだ。

途中で引き返すと、少し風景を観察するゆとりができた。ブドウのように真っ赤な房状の実をいっぱいつけている木が目に入った。平から向かって夏井川渓谷の始まる辺り(高崎)にもある。あちこちにある、という木ではない。あとで調べたら、イイギリだった。

わが家へ帰って夕方、再び夏井川の堤防へ出たら、朋友がケータイを鳴らした。学生時代に仲間が入り浸った喫茶店のマスターが急死した、という。秋に夏井川渓谷で「同級会」をした翌日、何人かがマスターの店を訪ねた。われわれよりは少し兄貴分の早過ぎる死に、夜はグラスを挙げた。

0 件のコメント: