2011年11月16日水曜日

会津の夢二


会津・東山温泉の「新滝」は竹久夢二ゆかりの旅館として知られる。そこでミニ同級会が開かれた。

ロビーの一角に「竹久夢二ギャラリー」がある。旅館に残された作品のなかから、いかにも夢二らしい、憂い顔の美人画など数点が展示されている=写真

夢二は、明治44(1911)年、大正10(1921)年、昭和5(1930)年の3回、新滝に逗留した。

なかでも大正10年には、8~11月にかけて福島県内を転々とした。三春と船引で画会を開き、郡山、福島、会津などにも長期にわたって滞在した。途中、いわき湯本温泉の山形屋旅館にも泊まっている。(いわき市立美術館編集・発行『竹久夢二展図録』)

山形屋では、旅館特製の黄八丈の丹前を気に入り、譲り受けている。夢二には連れがいた。いわき市立美術館の学芸員氏は、山形屋関係者がいう「非常に美しく、背のスラリとした和服姿の女性」について、「おそらくお葉であろう」としている。

夢二の代表作に黄八丈を着た若い女性(お葉)が黒猫を抱いている「黒船屋」がある。山形屋から譲り受けた黄八丈なら面白かったのに、作品はその2年前に完成している。夢二はとにかく黄八丈が好きだった、ということだろう。

東山温泉街はV字谷に形成された。細い道をはさんで山側にも、谷側にも旅館が建っている。対岸にも旅館が張りついている。その間を湯川が白く泡立ちながら流れている。谷底がすぐそこに見える。この温泉と渓流の近さが魅力のひとつに違いない。

新滝では宴会のあと、館内のクラブを貸し切って2次会が行われた。要はカラオケ大会だ。クラブの名前は「くろねこ」。夢二の「黒船屋」を連想させる名前ではある。

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