2011年11月25日金曜日
出会いの場②
「ラトブ」の2階にある被災者のための交流スペース「ぶらっと」は月に1回、情報紙「ぶらっと通信」を出す。これまでに2回、創刊準備号、創刊準備第2号を出した。いよいよ今度は創刊号だ。主に民間借り上げ住宅で避難生活を送っている人たちに郵送される。その発送準備作業が勤労感謝の日の夕方、「ぶらっと」で行われた=写真。
「独りでいるからやることがない」。大津波に襲われた平・薄磯の男性や、大熊町から避難して来た女性(転々とすること5回目だという)は、すっかり「ぶらっと」の常連になった。この人たちと編集ボランティア、スタッフが分担して、封筒にあて名ラベルを張った。それこそ、ぶらっとやって来た人も手伝いの輪に加わった。
人数が少ないと作業時間は長くなる。今度は逆で、あっというまに作業が終わった。終わって簡単な自己紹介が行われた。編集ボランティアのなかには高校生が2人いる。1人は将来、海外協力関係の仕事に就きたいという。もう1人は放送部に属していて、映像番組制作を企画している。
10代後半に大人と力を合わせて何ごとかをなす――。2人の女の子は「ぶらっと通信」の編集を手伝うためにやって来た。校内にとどまらない、社会参加への意欲が、体験が、やがて本人を大きく成長させる糧となるだろう。そんな期待がふくらむ。(10代後半に大人と一緒になって同人雑誌をつくったことがある。その経験は得難いものだった)
こうして、NGOのシャプラニールが運営する「ぶらっと」は被災者のためだけではなく、ボランティアや市民(多かれ少なかれ被災者には変わりがない)の交流スペースにもなっている。
新しく「ぶらっと」のスタッフに加わった女性は、家が全壊したという。原発避難、全壊・半壊・一部損壊……。私が知っている範囲では、無傷な家はない。心に傷を負った人も多い。
「原発震災」は一瞬にして被災者から大事な人や大事なものを奪った。その大災厄が、一方では新しいつながりをもたらした。地域を超え、世代を超えて、人と人とがつながっていく。「ぶらっと」を介して、その原形を見たような思いがする。
いわきに志摩みどりさんという俳人がいた。20年余前にこの世を去った、忘れられない句がある。「花すすき誰も悲しみもち笑顔」。季節によっては上五の「花すすき」を、「花つつじ」とか「花八つ手」などと、勝手に言い換える。3・11以来、この句を口ずさむ回数が増えた。
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