2009年4月9日木曜日

鳥が植える、風が植える


朝晩の散歩コースのなかに「草野の森」がある。国道6号常磐バイパス終点斜面を利用し、いわきの平野の潜在植生である照葉樹のポット苗を密植・混植してつくった「ふるさとの木によるふるさとの森」だ。宮脇昭横浜国立大名誉教授が森づくりを指導した。

まだまだ幼樹が目立つが、若いなりに緑濃く茂り、鳥たちがやって来ては歌い、休むようになった。秋の夕暮れ時のスズメ、朝のキジバト、ヒヨドリ、ムクドリ、冬のアカハラ、そして今はウグイスが森の奥でさえずっている。

照葉樹だから、森は一年中あおあおとしている。カンツバキ、ヒラドツツジ、クチナシといった灌木を配置して、四季を通じて花も絶えないようにした。

それでもよく見ると、落葉樹が何本か混じっている=写真。ヤマザクラの幼樹がある。ヤシャブシの幼樹がある。名前の分からない落葉樹もある。針葉樹のクロマツも人間の丈くらいに成長したのがある。いずれも人間が植えたものではない。風が運び、鳥がフンと一緒に落とした種が芽生え、成長したのだ。

「草野の森」づくりは2000年3月、小学生たちが参加してポット苗を植えたことから始まる。街中に出現した小さな21世紀の森。途中から風が加わり、鳥が加わって、今度は自然自身が森をつくるようになった。森づくりは絶えず現在進行形で行われている。

哲学者内山節の自然哲学に従えば、「草野の森」は自然と人間の交通によって生まれ、自然と自然の交通によって大きくなっていく緑のスポット。人間だけでなく、鳥も木を植えた(種を落とした)、風も木を植えた(種を運んだ)――そう考えると楽しくなる。鳥と風の協働作業はしかも永遠に続く。

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