2009年4月14日火曜日

アカヤシオ撮影隊


日曜日(4月12日)早朝、アカヤシオ(岩ツツジ)で満開の夏井川渓谷へ車を走らせた。土曜日に敬愛する人の通夜があり、渓谷の埴生の宿・無量庵に泊まれなかったため、起きぬけにわが家を出たのだった。

一番列車が通過する7時前には無量庵に着いた。隣の「展望台」には早くも三脚を立てて対岸のアカヤシオの花を撮影する人たちがいた。三脚を担いで道路を歩いて来る人もいる。なにやら写真グループの撮影会といった風情である。

7時前にグループでやって来るアマチュアカメラマンは珍しい。早朝、そして薄曇り。晴れれば逆光だが、全体に同じ明るさの中で花をとらえることができる。時間と天気を計算して来たか。対岸の山と彼らをセットでカメラに収めようとしたら、カミサンが「知ってる人かもしれない」という。いわき在住で、土門拳文化賞受賞者のTさんだ。

撮影ポイントを探してやって来る女性にカミサンがにっこりあいさつした。女性はしばし怪訝そうだったが、カミサンと分かると目を丸くした。やはり、Tさんである。指導している写真クラブの撮影会で、小川町・諏訪神社のシダレザクラが満開時期を過ぎて写真にならないため、夏井川渓谷まで足を伸ばしたのだという。

無量庵に案内すると、「こっちの方がいい」とクラブの面々を呼び込んだ=写真。その人たち6人のうち3人がまたまた知り合いだったり、かつてのPTA仲間だったりした。

春のアカヤシオ、秋の紅葉を撮影に来る人たちはたいがいが被写体しか目に入らない。目的を果たすと、さっさと姿を消す。Tさんは違っていた。「写真を撮りに行くと、こういう出会いがあるので楽しい」という。自然を撮るのではない。自然と人間の関係を撮るのだ。4年前にはそうして写真集『知床・羅臼』を出版した。

撮影が一段落すると、カミサンがモーニングコーヒーを出した。カメラの話を聞いたり、夏井川渓谷の四季の様子を話したりしているうちに、次の撮影地へ出かける時間がきた。「これから富岡町の夜ノ森公園へ行く」のだという。ソメイヨシノが満開だ。

せっかくの日曜日、こことあそこと、そしてあそこも――と撮影隊は満開の花を求めるミツバチのように忙しい。

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